【比較】スバル 新型WRX S4 vs VW ゴルフGTI どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎

【比較】スバル 新型WRX S4 vs VW ゴルフGTI どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎

WRXとGTI、魅力の2リッターハイパフォーマンスモデル対決!

「スバル WRX」は一見、多くのライバル車が居そうなイメージがあるが意外にも該当する車種が少ない。
新型WRXのライバルといえば「三菱 ランサーエボリューションX」が真っ先に挙げられるが、登場後7年を経ており少々設計が古い。では、2リッターのターボを搭載するという点で「日産 スカイライン200GT-t」も考えられるが、価格が新型WRXに比べて40~50万円は高い。
価格が比較的近いのは「マツダ アテンザセダン XD・Lパッケージ」だが、エンジンは2.2リッターのクリーンディーゼルターボで性格が違う。WRXは峠道の運転が楽しく、アテンザは高速道路を使った長距離移動型だ。

改めて、そもそも“WRX”とは?

(左)スバル 新型WRX STI/(右)スバル 新型WRX S4(左)スバル 新型WRX STI/(右)スバル 新型WRX S4
そこで「スポーティな4ドアセダン」というジャンルから離れて考えてみよう。そもそも“WRX”とはどのようなクルマなのか。
ボディはコンパクトとミドルサイズの中間くらいで全幅は1,800mm以下。エンジンは2リッターのターボで4リッター並の性能を有し、峠道やサーキットでスポーティな運転感覚を満喫できる。内外装は少し地味だが上質で、見栄を張るより中身の濃さを重視するタイプ。
そして新型WRXの売れ筋は、新設計のエンジンにCVT(無段変速AT)を組み合わせた「WRX S4」。「WRX STI」はチューニングの自由度を考えて先代型と同じエンジンを搭載し、6速MT専用の設定とした。
なので「WRX S4」はラリーベース車という印象はない。運転がしやすく高性能車としては乗り心地も快適。雰囲気はちょっと渋く、オジサン世代の筆者としては、1990年に登場した初代プリメーラあたりを連想する。
VW ゴルフGTI
そこで思い当たるのが「VW(フォルクスワーゲン)ゴルフGTI」だ。ボディタイプは5ドアハッチバックでWRXとは異なるが、「運転の楽しい少し地味で上質な高性能車」という点は共通。GTIはゴルフの スポーティグレードという見方もできるが、一般的には別の車種と認識されている。
新型WRXもベースはインプレッサG4で、フロントピラーからルーフ、リアピラー付近の基本的な形状は共通だ。インパネのデザインや前後席の居住性も同等だが、まったく違うクルマに仕上げられている。

新型WRX S4 vs ゴルフGTI -エクステリア対決-

新型WRXとGTIのボディサイズを比べると、全長は新型WRX S4が「4,595mm」でゴルフGTIは「4,275mm」。新型WRX S4はセダンでトランクスペースを備えるから、長くなって当然だ。
全幅は新型WRX S4が「1,795mm」でゴルフGTIは「1,800mm」だからほぼ同じ。ホイールベースも新型WRX S4が「2,650mm」で、ゴルフGTIよりも15mm長い程度。全高も新型WRX S4が25mm高いが、全長を除くとほぼ同じ大きさになる。
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VW ゴルフGTIVW ゴルフGTIVW ゴルフGTIVW ゴルフGTIVW ゴルフGTI

新型WRX S4 vs ゴルフGTI -インテリア対決-

スバル 新型WRX S4VW ゴルフGTI
内装の質感は見る人によっても評価が変わるが、インパネの素材などはゴルフGTIが少し勝るように思う。それでも大差はなく、新型WRX S4も上質に造り込まれている。
フロントシートの座り心地やサポート性は、両車ともに良い。適度に体が沈んだところでしっかりと支え、スポーティドライブに適した仕上がりだ。背もたれの腰の近辺の張り出し方は、ゴルフGTIが絶妙に感じられる。
リアシートは、新型WRX S4に余裕がある。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は新型WRX S4が握りコブシ2つ少々。ゴルフGTIは握りコブシ1つ半。ゴルフGTIでは前席の下に足が収まりやすく、座面の前方を持ち上げたから大腿部も離れないが、背もたれと座面が硬めで拘束感が強い。
着座姿勢が乱れにくく、シートベルトを正確に作動させるメリットはあるが、日本車に慣れたユーザーには、柔軟でリラックス感覚が伴う新型WRX S4の方が違和感は生じにくい。
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【比較】スバル 新型WRX S4 vs VW ゴルフGTI どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎

新型WRX S4 vs ゴルフGTI -動力性能・ドライビング対決-

スバル 新型WRX S4VW ゴルフGTI
エンジンは新型WRX S4が水平対向4気筒の2リッターターボで、最高出力は300ps(5,600rpm)、最大トルクは40.8kg-m(2,000~4,800rpm)。
対するゴルフGTIは直列4気筒の2リッターターボで、220ps(4,500~6,200rpm)/35.7kg-m(1,500~4,400rpm)。
車両重量は、新型WRX S4が4WDの採用によって1,540kgと重く、ゴルフGTIは1,390kgに収まるが、加速力が優れているのは新型WRX S4だ。
幅広い回転域で4リッター並の動力性能が発揮され、従来型レガシィが搭載した同型エンジンに比べてターボのクセを抑えており運転がしやすい。
ただし、運転する楽しさとなると「互角」だろう。ゴルフGTIのエンジンは、新型WRX S4に比べて高回転域の吹き上がりが機敏に感じられ、ATもDSGで有段式の6速だからだ。
VW ゴルフGTI
新型WRX S4もステップ変速制御を採用するが、あくまでもCVT。そしてCVTは本来、効率の良い回転域を使い続けられるのがメリットであるから、加速性能を競えばステップ変速制御がデメリットに作用する場合もある。
これらの点から考えると、新型WRX S4は性能重視、ゴルフGTIは運転の楽しさに重点を置いた設定といえるだろう。このエンジンの指向性と同様のことが、操舵感や走行安定性にも当てはまる。
スバル 新型WRX S4スバル 新型WRX S4
新型WRX S4は、4WDの採用も生かして走行安定性を重視した。
後輪の接地性を最優先させた上で、車両がハンドルの操舵角に対して正確に向きを変え、内側に向けやすい。適度な軽快感も伴い、走行安定性と機敏性のバランスは日本車のナンバーワンといってもオーバーではない。この特徴を明確に感じ取れるのは、ビルシュタイン製のショックアブソーバーを備えた「WRX S4 2.0GT-Sアイサイト」だ。
一方、ゴルフGTIはベーシックなゴルフに比べるとハンドルの切れがかなり鋭い。新型WRX S4は、従来のスバル車のバランスの取れたセッティングを発展させた印象だが、ゴルフGTIではベース車とは異なり「ドライバーを楽しませよう」という意図を強く感じる。後輪の接地性が下がることはないが、操舵感はダイレクトで良く曲がる。
VW ゴルフGTI
バランス型の新型WRX S4を基準に考えると、ゴルフGTIはスポーティで若々しいともいえるし、別の見方をすれば少し子供っぽい。乗り心地は、街中では新型WRX S4が快適だ。ゴルフGTIは少し硬めだが、重厚感が伴って不快な印象はない。
両車ともにスポーティーカーとして、適度な引き締まり感のある乗り心地に仕上げられている。

新型WRX S4 vs ゴルフGTI -燃費・装備・価格対決-

スバル 新型WRX S4
JC08モード燃費は、新型WRX S4が「13.2km/L」、ゴルフGTIは「15.9km/L」。ゴルフGTIは前輪駆動の2WDでボディが軽く、なおかつアイドリングストップも装着されるので燃費性能が優れている。
安全装備については、両車とも衝突回避の支援機能を備える。新型WRX S4はカメラ方式のアイサイトバージョン3、ゴルフGTIはミリ波レーダーを使ったプリクラッシュブレーキシステムだ。並走する側方車両との接触を防止する機能は、今のところ両車とも設定していない。
快適装備は、新型WRX S4には運転席と助手席の電動調節機能や18インチアルミホイールが標準装着され、ゴルフGTIにはCDオーディオが備わる。
車両価格は新型WRX S4の2.0GT-Sアイサイトが「356万4,000円」、ゴルフGTIが「383万3,000円」だ。
スバル 新型WRX S4VW ゴルフGTI
新型WRX S4の動力性能が勝り、なおかつセンターデフを使ったVTD式AWD(4WD)を搭載することも考えると、走行性能を含めた機能と価格のバランスでは「WRX S4が買い得」と判断できる。
一方、「運転して面白い、楽しいと感じるのはどちらか」と問われればゴルフGTIだ。ベース車のゴルフなどに見られるVWの堅実なクルマ造りとは指向性が異なり、少し無理をしているというか演出の仕方がハナに付くところはある。
その意味では新型WRX S4が自然だが、演出が過剰でもバランスを崩さずスポーティ感覚を満喫できるのはゴルフの“懐の深さ”だろう。
個人的にはどうだろうか。今の仕事で使うことも考えると、理屈の上では「WRX S4」が適している。だが、クルマ好きの感情が「ゴルフGTIにしようぜ!」とワメいている。
本稿を書いていたら、本当にどちらかを買いたい気分になってきました。

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