
ボディスタイル/サイズ/視界比較
ボディサイズは両車ともほぼ同じ。標準ボディは5ナンバーサイズの規格枠いっぱいに造られ、エアロパーツを装着した仕様は3ナンバーサイズに拡大される。最小回転半径は、標準ボディについては両車とも5.5mだ。
外観も似ている。両車とも5ナンバーサイズの規格内で最大の室内空間を得るため、サイズだけでなく、直立したウインドーの角度や短いボンネットなども必然的に似てしまう。
フロントマスクでは、新型セレナが方向指示器とヘッドランプの間にボディ同色の細長いパネルを装着した。そのために見栄えがヴォクシーに近づいた。
また新型セレナは太いU字型のメッキグリルを装着して、売れ筋路線の外観に仕上げている。
前方視界は、新型セレナがメーターをインパネ上部の奥側に装着するので、少し圧迫感を伴う。その代わりメーターを見る時の視線と目の焦点移動が少なくチェックはしやすい。新型ではピラー(柱)の形状を見直して、斜め前方の視界を向上させる。
ヴォクシーのインパネはオーソドックスな配置で上端の高さは抑えた。前方視界は開けるが、メーターを見る時の視線と目の焦点移動は少し多い。
側方は両車ともサイドウインドーの下端が低めで見やすく、ミニバンで不利になりやすい左側面の死角も小さく抑えた。

内装の質感/操作性比較
インパネのデザインはヴォクシーが立体的だが、新型セレナも流行を取り入れ、エスクァイアなどと同じくステッチが入ったように見せている。
ATレバーは両車ともインパネの下側に装着され、セレナは直線的に動かすタイプだ。ヴォクシーはジグザグのゲートを備える。
好みが分かれるのはハンドルの形状で、新型セレナは「D型」と呼ばれるデザイン。ハンドルが円形ではなく、直進状態にすると下側が直線状になる。
クーペなどではハンドルとドライバーの大腿部が接近するから、操作性や乗降性を考えてD型にするもの理解できるが、セレナの運転席は足元に十分な余裕がある。助手席や後席への移動を考えても、D型の実用的なメリットは乏しいだろう。むしろ「送り/たぐりハンドル」で回すドライバーには、違和感が生じる場合がある。
プラットフォーム&乗降性比較
セレナやヴォクシーのような全高が1700mmを超えるミニバンは、すべてフラットフロア構造を採用する。燃料タンクの張り出しをカバーできる位置まで床を高め、段差なくフラットに仕上げる。
この構造により、3列目シートも床と座面の間隔が十分に確保され(フラットフロア構造でないと燃料タンクの張り出しで床と座面が近づいて膝が持ち上がる)、車内の移動もしやすい。
その代わり、燃料タンクの厚さや配置を工夫しないと床が高くなってしまう。
床が高いと乗降性が悪化して、十分な室内高を確保するには天井も持ち上がる。高重心になってボディも重くなり、動力性能、安定性、乗り心地、燃費などに良くない影響を与える。
そこでヴォクシーは、現行型にフルモデルチェンジを行う時点でプラットフォームを大幅に変更して、床を約85mm低く抑えた。以前はサイドステップ(小さな階段)を介して乗り降りしたが、今は足が床に直接届く。
一方、新型セレナはホイールベースを含めてプラットフォームを変更しない。床は下がらず、現行型と同様のサイドステップが備わる。従って床の位置はヴォクシーよりも70mmほど高い。
となれば乗降性は明らかにヴォクシーが勝る。またセレナは高重心になるから、走行性能や乗り心地などを抜本的に改善するのは難しいと思われる。

3列目シートは、現行セレナはヴォクシーに比べて窮屈。ヴォクシーが現行型になって足元空間と、床と座面の間隔を拡大させたので、セレナは差を付けられてしまった。
そこで新型セレナは上級グレードに480mmの前後スライド機能を採用。後端まで寄せると足元空間を現行型以上に拡大できる。
また床と座面の間隔を30mm広げて座面の柔軟性も増すから、3列目の居住性はかなり向上する。座面の奥行寸法はヴォクシーよりも15mmほど長い。
従ってシート自体の座り心地は新型セレナが快適だが、3列目に座る乗員の足が2列目の下に収まりにくい欠点はそのまま残っている。ヴォクシーは2列目の下に十分な空間を確保して、3列目に座る乗員の足が収まりやすい。だからリラックス感覚はヴォクシーが少し勝る。
荷室とシートアレンジ比較
新型セレナの荷室容量とシートアレンジは、基本的に現行型と同じだ。3列目は左右に跳ね上がり、広い荷室に変更できる。2列目の中央を1列目の間までスライドさせると、収納設備として使える。
その一方で、前述のように3列目の前後スライド機能を加えたから、乗員の体格や荷物の量に応じて調節しやすい。この機能はヴォクシーには用意されない。
また新型セレナは、上級グレードの2列目に900mmのロングスライド機能を採用する。2列目の中央を1列目の間にスライドさせ、2列目の左右席を内側に寄せることで、後方まで大きくスライドできるようにした。2列目の足元空間が広がり、スライドドアから車内の中央に荷物を積むことも可能だ。
これはヴォクシーに対抗する機能だろう。ヴォクシーも2列目がセパレートタイプの7人乗りでは、左右席を内側に寄せて、足元空間を広げる810mmのスライド機能を装着するからだ。
なお、ヴォクシーでは3列目がレバー操作のみで跳ね上がって使い勝手が良い。
新型セレナの荷室で注目されるのは、リアゲートの上半分だけが開くハッチゲートだ。背の高いミニバンはリアゲートも長いので、開閉時に手前に大きく張り出す。上半分だけを開閉できれば、狭い場所でも手荷物を出し入れがしやすい。

安全装備比較
新型セレナの緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、現行型と同様のエマージェンシーブレーキだ。単眼カメラを使い、車両だけでなく歩行者も検知できる。
ヴォクシーのToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)は、赤外線レーザーと単眼カメラを併用するが、歩行者の検知機能はない。従って緊急自動ブレーキによる衝突回避の支援機能は、新型セレナが勝ると判断できる。
この安全装備を応用したのが、進化した運転支援機能のプロパイロットだ。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールの機能を備え、停車時まで含めて先行車に追従走行する。
さらにハンドル操作の支援機能もあり、高速道路などでは、車線を読み取って操舵力を与えるからドライバーの負担を軽減できる。
Toyota Safety Sense Cに車間距離を自動制御するクルーズコントロールや操舵支援の機能はないので、この点ではセレナが進歩的だ。
燃費&価格比較
新型セレナの売れ筋グレードは、マイルドタイプのSハイブリッド。JC08モード燃費が最も優れた仕様は、現行型は16km/Lだが、新型では17.2km/Lに向上する。ヴォクシーのノーマルエンジン車は16km/Lだから、数値上は新型セレナが8%勝る。
ただしヴォクシーには先代プリウスに準じるハイブリッドを搭載した仕様もあり、このJC08モード燃費は23.8km/L。本格的なハイブリッドを選べるのは、ヴォクシーのメリットだ。
新型セレナの価格は、販売店によると標準ボディで主力のXが248万9400円、ハイウェイスターが267万8400円になる。この2グレードにはエマージェンシーブレーキは標準装着されるが、プロパイロットは標準では備わらない。
プロパイロットは現行型でいえばアドバンスドセーフティパッケージに組み込まれ、移動物の検知機能を備えたアラウンドビューモニター、踏み間違い衝突防止アシストなどとセットでオプションになる。
それでも標準装着したグレードが用意され、ハイウェイスタープロパイロットエディションは291万6000円だ。新型セレナではこのグレードが売れ筋になる。
一方、ヴォクシーの価格は、標準ボディで主力のXが248万73円(7人乗り)。オプションのToyota Safety Sense C(5万4000円)を加えると253万4073円だ。
新型セレナのハイウェイスターに相当するヴォクシーZSは、Toyota Safety Sense Cを標準装着して273万9273円(7人乗り)になる。新型セレナの価格は、ヴォクシーを意識して戦略的に安く抑えているが、プロパイロットを加えれば高めになる。
新型セレナは低床化を見送ったので、基本的な機能ではヴォクシーに見劣りするが、歩行者を検知する緊急自動ブレーキ、プロパイロット、ハッチゲートで優位性がある。これらの装備に対するニーズで、新型セレナの選択が決まるだろう。





























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