
内外装が上質なLサイズのミニバンに乗りたいが、トヨタ「ヴェルファイア&アルファード」では外観の存在感が強すぎる。適度に洗練された上級ミニバンが欲しい。
このようなニーズに適するのがトヨタ『エスティマ』だ。ヴェルファイア&アルファードがかつて憧れの対象とされたトヨタ「クラウン」なら、エスティマは少し抑制を利かせたトヨタ「マークII」に相当する。
そしてミドルサイズの「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」は「コロナ」と「カリーナ」、人気の高いコンパクトな「シエンタ」は「カローラセダン」を思い出させる。
今トヨタのミニバンは、セダンが日本車の主役だった時代を巧みに踏襲することで高い支持を得た。トヨタならではの市場戦略に基づく車種構成だ。
そこで今回は、2016年6月6日にマイナーチェンジを受けたエスティマと、ライバル車になるホンダ「オデッセイ」を比べたい。両車ともに後席側のドアがスライド式で、広い室内を特徴とする。
エスティマのマイナーチェンジの内容は、2016年6月6日に新型車解説を掲載した。現行型は2006年の登場だから既に10年を経るが、フロントマスクに大幅な変更を加えて今日のトヨタ車に共通する顔立ちに仕上げ、内装の質も向上させた。エンジン性能や燃費に変更はないが、V型6気筒の3.5リッターは廃止して、直列4気筒の2.4リッターとハイブリッドとしている。
足まわりには手を加え、ボディの捩れや歪みを効果的に抑えるフロントパフォーマンスダンパーを標準装着、あるいはオプションで用意した。
そして安全装備は、緊急自動ブレーキを作動できるToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)を全車に標準装着する。
それでも売れ行きは好調で、注意点としては納期が長引いた。契約から納車までの期間は、ノーマルエンジン車が2か月半から3か月、ハイブリッドは3か月半から4か月で、新設定された2トーンカラーは約半年だ。2016年6月に契約しても、納車は11月下旬から12月になる。
オデッセイは新型車ではないから、ノーマルエンジンは1か月、ハイブリッドでも2か月で納車できる。オデッセイの外観はミニバンの定番的なデザインだ。
ボディサイズはエスティマの全長が4820mm、全幅は1810mm、全高は1745~1760mmになる。
オデッセイは全長が4830mm、全幅はアブソルートが1820mmで標準ボディは1800mm、全高は1685~1715mmだ。
ほぼ同じサイズだが、オデッセイは低床プラットフォームの採用で全高が約60mm低く、なおかつ室内高はエスティマを70mmほど上まわる。オデッセイは空間効率が優れている。
取りまわし性は両車とも良好とはいえず、購入するなら試乗車で縦列駐車などを試したい。
特にエスティマはフロントウインドウを寝かせたので、感覚的にボディの先端位置が分かりにくい。最小回転半径はオデッセイが5.4mで、エスティマはノーマルエンジンが5.9m、ハイブリッドは5.7mだ。ヴェルファイア&アルファードの5.6~5.8mよりも大回りで、基本設計の古さを感じる。
勝者:オデッセイ

前後席の居住性/乗降性比較
1列目シートの座面サイズは両車ともに同等だが、背もたれの高さはオデッセイに少し余裕がある。サポート性が良くエスティマよりも快適だ。
2列目は売れ筋のセパレートシートで比べる。両車ともオットマンを備え、膝から先を支えるのでリラックスして座れる。
注目されるのはオデッセイのプレミアムクレードルシートだ。クレードルとは「ゆりかご」の意味で、乗員の体をスッポリ包む形状に仕上げた。座り心地は柔軟で、背もたれを後方に倒すと座面の前側が連動して持ち上がり、少しフンゾリ返る姿勢になる。リラックスできて快適だが、小柄な同乗者が座ると大腿部を押された印象になるので注意したい。クセのあるシートだが、快適に感じるユーザーは多い。
エスティマの2列目に凝った機能はないが、馴染みやすい座り心地に仕上げた。
3列目のシートはオデッセイが快適だ。頭上はさほど広くないが、膝先に十分な余裕がある。低床設計で床と座面の間隔に余裕があるから、膝が持ち上がる姿勢になりにくい。
エスティマの3列目は床と座面の間隔が不足して膝が持ち上がり、大腿部がシートから離れやすい。座面の奥行はオデッセイに比べて約70mm短く、全高が1700mmを超えるミニバンでは窮屈だ。エスティマの3列目は、オデッセイだけでなく、ミドルサイズのヴォクシー/ノア/エスクァイアと比べても見劣りする。
乗降性はオデッセイの圧勝。スライドドアの部分で床が100mm前後低く、大きく足を持ち上げずに乗り降りできる。エスティマは床が高く、乗降用の小さなサイドステップを設けた。
勝者:オデッセイ
荷室比較
両車ともに3列目シートは床下格納とした。格納時に3列目が露出しないので、スッキリと広い荷室になる。オデッセイの格納は左右一体型だが、エスティマは左右分割式なので、荷物の量や乗車人数に応じて調節しやすい。
荷物を出し入れするリアゲートの下端と路面との間隔は、エスティマが720mmで、オデッセイは525mmと低い。オデッセイは荷物を高く持ち上げずに出し入れできる。
勝者:エスティマ

エンジン性能/燃費/エコカー減税比較
エスティマは2.4リッターのノーマルエンジン、ハイブリッドともに動力性能と燃費をマイナーチェンジの前から変えていない。ノーマルエンジンの最高出力は170馬力(6000回転)、最大トルクは22.8kg-m(4000)回転だ。
オデッセイは標準ボディが搭載するベーシックなポート噴射が175馬力(6200回転)/23kg-m(4000回転)。アブソルートが搭載する直噴式は190馬力(6400回転)/24.2kg-m(4000回転)になる。
エスティマとオデッセイのポート噴射では、性能に大した差はない。オデッセイアブソルートの直噴式は、4000回転を超えた領域の加速が活発だ。売れ行きはアブソルートが圧倒的に多いので、オデッセイがパワフルという見方も成り立つ。
ただしオデッセイの直噴エンジンは、ノイズが少し気になるので注意したい。
JC08モード燃費を2WDで見ると、エスティマは11.4~11.6km/L。オデッセイのポート噴射は13.4~13.8km/Lで、直噴式は13.6~14km/Lだ。オデッセイの燃費数値が18%ほど優れる。エスティマのエンジンは設計が古く、アイドリングストップも装着されないので燃費は良くない。
エコカー減税でもエスティマは不利。2.4リッターのノーマルエンジンは該当しない。オデッセイは自動車取得税が40%、同重量税が25%軽減される。
一方、ハイブリッドは、オデッセイがアコードと同様のシステムを使う。2リッターエンジンは主に発電機の駆動を担当し、限られた高速走行時を除くと、駆動はモーターが担当する。だから加速感が滑らかでノイズも小さい。
ハイブリッドのJC08モード燃費はエスティマが17~18km/L、オデッセイは24.4~26km/Lだ。オデッセイの燃費数値が勝るが、駆動方式は2WDのみで4WDは選べない。エスティマハイブリッドは後輪をモーターで駆動する4WDのみだから、燃費の違いも差し引いて考える必要がある。
エコカー減税は、ハイブリッドについては両車とも免税だ。
勝者:オデッセイ
安全装備比較
エスティマがマイナーチェンジで緊急自動ブレーキを新たに採用したが、主にコンパクトな車種を対象に開発されたToyota Safety Sense Cになる。センサーには赤外線レーザーと単眼カメラを使うが、歩行者を検知しない。衝突の危険が生じた時の警報は時速100km以上でも作動するが、緊急自動ブレーキが働くのは時速80km以下だ。
一方、オデッセイはHonda SENSING(ホンダセンシング)を採用。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用し、歩行者を検知して高速度域でも緊急自動ブレーキを作動できる。
さらに車間距離を自動制御しながら追従走行できるクルーズコントロールも備えた(作動速度は時速30~100kmで全車速追従ではない)。制限速度や一時停止の道路標識を検知してディスプレイに表示する機能も備わり、安全装備はオデッセイが先進的だ。
勝者:オデッセイ

価格の割安度比較
ノーマルエンジンの買い得グレードは、エスティマがアエラスプレミアム(340万1018円)。Toyota Safety Sense C、フロントパフォーマンスダンパー、合成皮革のシート生地などが備わる。
オデッセイはアブソルートX・Honda SENSING(328万6400円/7人乗り)。Honda SENSINGには緊急自動ブレーキの機能に加えてサイド&カーテンエアバッグも含まれる。
買い得度は互角だが、安全装備の性能などを考えるとオデッセイが割安になる。
ハイブリッドも、エスティマはハイブリッド アエラスプレミアム(439万1673円)を選ぶ。オデッセイはハイブリッド アブソルートHonda SENSING(386万6400円)だ。
カテゴリ別勝者一覧
ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較:オデッセイ
内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較:エスティマ
前後席の居住性/乗降性比較:オデッセイ
荷室比較:エスティマ
エンジン性能/燃費/エコカー減税比較:オデッセイ
安全装備比較:オデッセイ
価格の割安度比較:オデッセイ
総合評価:オデッセイ


































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