
2014年4月21日に掲載した「トヨタ 新型ヴィッツ新型車解説」でもお伝えしたように、ヴィッツが力の入ったマイナーチェンジを実施した。
1.0/1.3/1.5リッターの全エンジンにわたり、燃費が改善されている。特に主力の1.3リッターはエンジンの設計が大幅に見直されて、燃費も大きく向上した。
新型ヴィッツの燃費は「25km/L」を達成し、従来の燃費と比較して115%の上昇を達成。トヨタが新型ヴィッツの燃費をここまで改善させた背景には、2013年にフルモデルチェンジを行ったライバル車「ホンダ フィット」との競争力を高めるためという背景がある。
初代ヴィッツは1999年に登場してコンパクトカーの販売ナンバーワンとなったが、2001年に初代フィットがデビューすると首位を奪われてしまった。その後はハイブリッド車のプリウスやアクアが好調に売れたが、ヴィッツは売れ行きが伸び悩む。
それでもヴィッツは小型&普通車の月別販売ランキングで常に10位以内に入るほどの人気車だが、ダウンサイジングの市場動向を考えればヴィッツの戦力を強化したいところだ。
新しくなったフィットが、アクアと首位を奪い合っている今であればなおさらだろう。特にハイブリッドであるアクアは、売れ筋である「S」グレードの車両価格が「約186万円」。競争相手がフィットハイブリッドならば吊り合うが、140万円前後を売れ筋にする1.3リッターのノーマルエンジン車とは価格帯が異なる。
アクアの人気がいくら高いといっても、やはり求めやすい価格帯はヴィッツに頑張ってもらわねばならないのだ。
そこで今回は、マイナーチェンジを受けて商品力を強化した新型ヴィッツの1.3リッターモデルと、これを迎え撃つフィットを比べてみたい。
トヨタ 新型ヴィッツ vs ホンダ フィット -燃費対決-
まずは最も気になる燃費についてだが、新型ヴィッツの1.3リッターエンジンを積んだ2WDモデルの燃費は、前述のように「25km/L」。ベーシックな「F」、上級の「U」、女性ユーザーを対象にしたドレスアップ版のジュエラを含め、すべてが同じ数値だ。刷新されたエンジンにアイドリングストップを加えて「25km/L」を達成した。
一方、フィットの1.3リッターモデルは、グレードによって燃費が異なる。13Gは「26.0km/L」、13G・Fパッケージと13G・Lパッケージが「24.4km/L」、同Sパッケージが「24km/L」だ。
この内、最も燃費の良い「13G」については、数値上の軽量化を図る目的で、燃料タンク容量を40リッターから32リッターに削減。安全装備の「あんしんパッケージ」を装着できず、リアシートをコンパクトに畳む機能も省いているという、いわゆる「燃費スペシャル」仕様なので、13Gの燃費は省きたい。
新型ヴィッツとフィットの売れ筋グレード同士で燃費を比べるならば、新型ヴィッツ 1.3Fで燃費は「25km/L」。フィット 13G・Fパッケージと13G・Lパッケージで燃費は「24.4km/L」だ。
0.6km/Lの違いでは確実な優劣は付けづらいが、数値上は新型ヴィッツが上まわった。
トヨタ 新型ヴィッツ vs ホンダ フィット -動力性能対決-
新型ヴィッツとフィットの1.3リッターモデルでは、動力性能は拮抗している。
新型ヴィッツは最高出力が99ps(6,000rpm)、最大トルクは12.3kg-m(4,400rpm)。フィットは100ps(6,000rpm)/12.1kg-m(5,000rpm)と、動力性能については両車はほとんど変わらない。
走行安定性と乗り心地については、新型ヴィッツがマイナーチェンジする前の比較では、フィットの方が優れていた。
しかし先ごろのマイチェンにより、新型ヴィッツがスポット溶接の箇所を増やして床下の補強材も大型化。足まわりに使われるショックアブソーバーの改良なども行った。要はボディ剛性を向上させて足まわりも柔軟に動くように改善されている。

トヨタ 新型ヴィッツ vs ホンダ フィット -インテリア対決-
マイナーチェンジを受けた新型ヴィッツでは、内装のデザインも変更されている。
質感も少し高められたが、あくまでも小規模だから見栄えに大きな変化はない。新型ヴィッツの質感はユーザーの見方によっても変わるが、残念ながらフィットを追い抜くレベルには達していないように思える。
フロントシートの座り心地は、フィットが現行型になって座面のボリューム感を強め、肩まわりのサポート性を向上させた。大きな差ではないが、新型ヴィッツよりもフィットの方が体をしっかりと支えてくれる。リアシートも同様で、座面の奥行寸法などのサイズに大差はないが、フィットの方が少し柔軟に感じる。
足元の空間は、身長170cmの大人4名が乗車した状態で、リアシートに座る同乗者の膝先空間は、新型ヴィッツが握りコブシ2つ弱、フィットは2つ半になる。頭上の空間は、新型ヴィッツは掌が収まる程度だが、フィットであれば握りコブシ1つ分は取れている。
さらにリアシートは着座姿勢でも差が付き、新型ヴィッツは少し腰が落ち込むが、フィットであれば違和感は少ない。
この違いはボディサイズと関係している。新型ヴィッツの全長は3,885mm、フィットは70mm長く3,955mmだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)にも差があり、新型ヴィッツは2,510mmだが、フィットは2,530mmになる。全高も新型ヴィッツが1,500mm、フィットは1,525mmで少し背が高い。フィットはボディが若干大きく、リアシートのスペースも広がった。
そしてもうひとつ、リアシートの装着位置も居住性に影響を与えた。ヴィッツは現行型にフルモデルチェンジする時、荷室の奥行寸法(リアシートは起こした状態)を当時のライバル車であった先代フィットと同等に近付けた。
そのためにリアシートの装着位置が少し前寄りで、ホイールベースが2,500mmを超える割に、リアシートの足元空間はさほど広くない。こういった具合にリアシートの居住性はフィットが優れているが、ヴィッツも大人4名が乗車して、窮屈に感じることはない。
70mmの全長の違いも、駐車場所の状況などによっては取りまわし性を左右する。最小回転半径の数値は、売れ筋グレードであれば4.7mで共通だ。
荷室の使い勝手やシートアレンジはフィットが優れている。
燃料タンクをボディの後部ではなくフロントシートの下に設置したので、荷室周辺の床を低く抑えられた。さらにリアシートを床面へ落とし込むように格納できる。この状態では、車内の後部がボックス状の荷室になる。
リアシートの座面を持ち上げて、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。このシートアレンジは初代フィットからの特徴で、今ではライバル車に差を付ける定番の機能となった。
新型ヴィッツでユニークなのは、Fにセットオプション、Uやジュエラに標準装着される助手席の「買い物アシストシート」だろう。助手席の座面の前側から垂直にボードを持ち上げると、座面の上に置いた荷物が床に落ちにくい。
装備については、フィットが「あんしんパッケージ」(時速30km以下で作動する自動ブレーキを伴う衝突回避の支援機能+サイド&カーテンエアバッグ)を6万1713円で設定したが、新型ヴィッツでは、自動ブレーキによる安全装備は設けていない。
フィットでは「あんしんパッケージ」の装着比率が50%を超えており、新型ヴィッツとの選択の分かれ目になりそうだ。
トヨタ 新型ヴィッツ vs ホンダ フィット -価格対決-
次に、売れ筋の1.3リッターエンジン搭載車による車両価格を比べてみよう。
フィット13G・Fパッケージは、スマートキーなどを標準装着して「139万8,858円」。これに相当する新型ヴィッツは、1.3F(145万145円)に、スマートエントリー&スタート+盗難防止装置(4万6440円)を加えた仕様で、合計「149万6,585円」になる。新型ヴィッツにはスーパーUVカット&IRカットガラスが装着されるが、シートアレンジの違いなども考えると、約10万円の差額があればフィットが買い得といえるだろう。
新型ヴィッツがフィットに対抗するには、価格を据え置いて衝突回避の支援機能とサイド&カーテンエアバッグを標準装着する必要があると思う。
以上のように、フィットは機能を高めて価格は割安だ。ハイブリッドも人気だが、買い得感を追求するなら1.3リッターの13G・Fパッケージに、「あんしんパッケージ」を加え、必要に応じてLEDヘッドライトも選ぶと良い。総額で152万7,428円になる。
新型ヴィッツは1.3Fに、前述のスマートエントリー&スタート+盗難防止装置、サイド&カーテンエアバッグ(4万3,200円)、必要に応じてLEDヘッドライト+コンライト(7万6,680円)を加える選び方だが、総額は161万6,465円に達する。やはり価格が少し高い。
新型ヴィッツがもうひと頑張りして買い得感を強めると、フィットの牙城を脅かすことも可能になりそうだ。


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