スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ どっちが買い!?徹底比較

スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ どっちが買い!?徹底比較

復活の兆しを見せ始めた“コンパクトスポーツハッチ”

ホンダ シティターボダイハツ シャレード・デトマソターボ
「コンパクト スポーツハッチバック」に、復活の兆しが見えてきた。
「スズキ スイフトスポーツ」「ホンダ フィットRS」「トヨタ ヴィッツRS」などは今でも選べるが、昔の「ホンダ シティターボ」「ダイハツ シャレード・デトマソTURBO」「トヨタ スターレットSi」などに比べるといささかボディが大きい。
1970年代の後半から1980年代に売られていたスポーツハッチバックは、全長が3,300~3,700mm、全幅は1,600mm以下で、車両重量も700kg前後と軽かった。エンジンは1~1.3リッターと非力であったが、軽いボディで軽快なコーナリングを楽しめる。
仮に挙動が乱れても、ボディが軽ければ操作もし易い。上手に走らせれば速く、失敗すれば遅いという原因と結果も分かりやすく、自然と運転が上達した。
そして小さなエンジンを積んだ安いクルマなのに、カーブを曲がる時には上級のスポーティカーと対等以上に勝負できる。この「下克上」のような感覚も魅力であった。

満を持して登場した“ワークス”

スズキ アルトワークス
こういった昔を知るクルマ好きを中心に受けているのが、2015年12月に発売された「スズキ アルトワークス」だ。軽自動車だから全長は3,395mmで全幅は1,475mm。当時のコンパクトカーに近いサイズとなる。
動力性能も同様で、直列3気筒658ccエンジンは、ターボを装着して独自のチューニングを施すことにより、最高出力は64馬力(6,000rpm)、最大トルクは10.2kg-m(3,000rpm)だ。後者の数値は当時のコンパクトカーのノーマルエンジンを上まわるほど高い。
2WDの車両重量は670kg(5速MT)だから、加速力にも余裕がある。ちなみに初代アルトワークスは1987年に、軽自動車で最初のツインカムターボとして登場した。
スズキ アルトワークスダイハツ キャストスポーツ
車名については現行型で復活したことになるが、当時と今とでは軽自動車の品ぞろえが大幅に違う。
初代アルトワークスの時には「スズキ ワゴンR」が登場しておらず(初代ワゴンRの発売は1993年)、スズキにとってアルトが軽自動車の主力商品だった。だからアルトワークスの登場も当然の流れだったが、今はワゴンRやハスラーが売れ筋で、それぞれのターボモデルも相応の人気を得ている。
にもかかわらずアルトワークスを投入した背景には、走りの楽しいスポーツハッチの不足と高いニーズがあるのだろう。
2015年3月にアルトターボRSが5速AGS(オートギヤシフト)を備えて発売され、「ワークスは出ないのか」という声が高まり、5速MTを選べるアルトワークスの登場となった。
アルトワークスのライバル車は「ダイハツ キャストスポーツ」だ。キャストは1車種でSUV風のアクティバ、都会的なスタイル、ターボエンジンのみを搭載するスポーツの3種類をそろえる。
キャストスポーツは外観だけでなく足まわりとタイヤも専用になるので、この2車種を比べてみたい。
スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ どっちが買い!?徹底比較

動力性能比較/スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ

スズキ アルトワークスダイハツ キャストスポーツ
両車ともに軽自動車だから全長と全幅は同じだが、全高はキャストスポーツが1,600mmと1,500mmのアルトワークスよりも100mm高い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はアルトワークスが2,460mm、キャストスポーツが2,455mmだからほぼ同じだ。
実際に両車を試乗した動力性能では、アルトワークスが優れている。発進直後の1,800rpm付近からターボの過給効果が感じられ、2,500rpm前後から加速力が本格的に活発化する。7,000rpmまでキッチリと回る加速性能は、軽自動車の最高水準といえる。
キャストスポーツもターボの装着で十分な加速力を発揮するが、アルトワークスほどではない。特に2,500rpm以下の動力性能に違いを感じる。
スズキ アルトワークススズキ アルトワークススズキ アルトワークススズキ アルトワークススズキ アルトワークス
ダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツ
スズキ アルトワークスダイハツ キャストスポーツ
差が生じた理由は2つあり、まずはエンジン自体の性能が違うことだ。
最高出力は両車とも軽自動車の上限になる64psだが、発生回転数はアルトワークスが6,000rpm、キャストスポーツは6,400rpmで少し上まわる。
最大トルクはアルトワークスが10.2kg-m(3,000rpm)、キャストスポーツは9.4kg-m(3,200rpm)だから、アルトワークスは実用回転域で高い性能を発揮している。
2つ目の理由は車両重量だ。アルトワークスは背の低い軽自動車でプラットフォームから軽量化を徹底させ、前述のように670kg(5速AGSは690kg)に抑えた。
キャストスポーツは850kg(CVT/無段変速AT)だから、アルトワークスに比べて160~180kgは重い。比率に換算するとアルトワークスの車両重量はキャストスポーツの80%程度だから、加速力で有利になった。
ダイハツ キャストスポーツスズキ アルトワークス
トランスミッションの違いにも注意したい。
キャストスポーツのCVTには7速の疑似的なマニュアル変速モードが備わるが、峠道では二速ではギヤ比が低すぎて、逆に三速は高すぎると感じることが多い。
無段変速のCVTだから、常に高回転域を維持できる「Lレンジ」があると動力性能を有効活用できるが、キャストスポーツにこのレンジはない。CVT車で高回転域を長時間にわたって使うと発熱の問題が生じるから、Lレンジの使用には注意が必要だが、動力性能をフルに引き出したい時は効果的だ。
そして、アルトワークスは受注台数のうちの90%を「5速MT」が占める。昔のスポーツハッチもそうだったが、軽自動車のスポーツモデルの醍醐味は一般公道でもパワーを出し切れることにある。この時には5速MTが効果的で、キャストスポーツにも設定して欲しい。
アルトワークスの5速MTは専用開発されており、シフトストロークも適度で操作性は良好だ。
スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ どっちが買い!?徹底比較

走行性能比較/スズキ アルトワークス

スズキ アルトワークス
走行安定性と乗り心地は、両車とも一長一短。
アルトワークスは足まわりがチューニングされており、その乗り心地は硬い。大きな段差を乗り越えた時の突き上げ感は比較的抑えられており、乗り心地の質自体は悪くないのだが、かなりの硬さとなる。舗装路上の細かな凹凸を伝えやすく、常に上下に揺すられている印象を受ける。
ボディの疲労が進みやすいのではないかと、ちょっと心配になるほどの乗り心地だ。
その代わり、曲がる性能は高い。神経質にならない範囲で車両の向きが機敏に変わり、しっかりと内側へ回り込む。旋回の外側に位置するタイヤが路面を確実にとらえているからだ。
スズキ アルトワークススズキ アルトワークス
走行安定性にも優れ、旋回中にアクセルを閉じたりブレーキをかけても後輪が横滑りするような状態には陥りにくい。
背景には硬い足まわりもあるが、それ以上に利いているのは700kgを下まわるボディの軽さと、全高を1,500mmに設定したことによる低重心、2,460mmの長いホイールベースだろう。機敏な回頭性と安定性を両立させる良い条件がそろった。
タイヤは15インチ(165/55R15)のブリヂストン・ポテンザRE050Aで、指定空気圧は前後輪ともに240kPaになる。
アルトワークスで注意したいのは、車両重量の割に駆動力が高いこともあり、カーブからの脱出でラフなアクセル操作をすると、2WDでは内側の前輪を空転させやすいことだ。
軽自動車に高いコストを費やすのもナンセンスだが、扱いやすさを損なわない設定のLSD(リミテッドスリップデフ)があると親切だろう。
スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ どっちが買い!?徹底比較

走行性能比較/ダイハツ キャストスポーツ

ダイハツ キャストスポーツ
ダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツ
キャストスポーツは、足まわりの設定を変えずに2種類のタイヤを用意した。
2WDのタイヤサイズは16インチ(165/50R16)で、標準装着されるのがヨコハマ・アドバンA10。2万1,600円を加えると、アルミホイールのデザイン変更と併せてブリヂストン・ポテンザRE050Aが装着される。指定空気圧は両タイヤの前後輪とも240kPaだ。
ポテンザ装着車は乗り心地が硬めで、タイヤが路上を転がる時のノイズも拡大するが、アルトワークスに比べると大幅に快適に感じる。タイヤの設定は、クルマの性格を考えるとポテンザのみで良いと思う。
開発段階で足まわりを煮詰める時はポテンザをベースに行っているために相性が良い。
アドバンでは安定性が勝って後輪の粘り感が増し、相対的に少し曲がりにくく操舵感が穏やか過ぎる印象だ。乗り心地もポテンザに比べて特に快適なわけではない。
とはいえ機敏に曲がるのは断然アルトワークスで、ポテンザを履いたキャストスポーツは、走りの点では見劣りする。
ダイハツ キャストスポーツ
その半面、キャストスポーツは乗り心地で勝り、違和感も生じにくい。また操る感覚と楽しさでは、キャストスポーツも負けていない。
アルトワークスに比べて高重心でボディが重く、旋回速度は下がるが、少し大きめの挙動変化が穏やかに進むからだ。
アルトワークスではボディがさほど傾かないカーブでも、キャストスポーツではイイ感じに姿勢が変わり、アクセルとブレーキ操作で進む方向を微妙に変える楽しさも併せ持つ。高重心なりの面白さがあるわけだ。
アルトワークスとキャストスポーツは、同じジャンルに属しながら指向性が違う。
アルトワークスは文字どおりの「ワークス」で、日産のノートやマーチに設定されるNISMOのような雰囲気。乗り心地の硬さでいえば、NISMO以上のスポーツ性ともいえるだろう。
一方、キャストスポーツはムーヴカスタムなどと同様、スポーティグレードの範囲に収まる。
スズキ アルトワークス
アルトワークスで気になるのは、運転席の着座姿勢だ。
サポート性の優れたレカロ製シートが備わるが、座る位置が少し高い。腰を安定させるために座面の前方を盛り上げたので、ペダルを上から踏み降ろす感覚になる。
クルマ好きには着座位置を下げて運転したい人が多いから、シートリフターを加えて、着座位置を下側へ30~40mm下げられるようにすると良いだろう。

 比較・総評/スズキ アルトワークス vs ダイハツ キャストスポーツ

スズキ アルトワークスダイハツ キャストスポーツ
価格はキャストスポーツの“SAII”が162万円(2WD・CVT)、対するアルトワークスの価格は2WDが150万9,840円。だが、それでもアルトワークスはアルトターボRSに比べれば21万6,000円高い。レカロ製シートをオプションに変更して11万円の値下げを行い、139万9,840円とすればさらに割安感が出てくるだろう。
結論としては、ハードな走りを求めるクルマ好きにはアルトワークスがピッタリだ。しかし夫婦で使うような場合は、奥様から苦情が出ることもあるだろう。この時には、アルトワークスと少しマイルドなアルトターボRS、車内が開放的なキャストスポーツを試乗して、購入車種を決めるのが良い。
大柄なスポーツモデルは取りまわし性や価格の面から購入しにくいが、軽自動車であれば馴染みやすく奥様も説得しやすいだろう。
「夫婦のクルマ談義」は、意外にこういった車種から始まるのかも知れない。
スズキ アルトワークススズキ アルトワークススズキ アルトワークススズキ アルトワークススズキ アルトワークス
ダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツ

コメント