
販売絶好調の「スズキ ハスラー」に挑む「ダイハツ キャスト」!
今は軽自動車の人気が高く、新車として売られるクルマの35~40%を占める。
その一方で、小型&普通車ではSUVの売れ行きが伸びている。SUVは「悪路を走破できる機能を備えたクルマ」とされるが、今ではタテマエになった。SUVのボディは上側だけを見れば5ドアハッチバックやステーションワゴンに近い。居住性や荷室の機能を高めやすく「実用的でカッコイイ」ことがメリットだ。
そこで空間効率の優れたホンダ「フィット」のプラットフォームを使うホンダ「ヴェゼル」、ミニバンのスバル「エクシーガ」をベースにしたスバル「クロスオーバー7」などが続々と登場してきた。
普通の5ドアハッチバックやワゴン、ミニバンでは物足りないが、サイズの大きなタイヤを履かせて下まわりにブラックの樹脂パーツを付けたりすると、「SUVルック」になって俄然魅力的に見える。安易な商品開発とも受け取られるが、スバル「インプレッサ」をベースにしたスバル「XV」が好調に売れたりすると、メーカーとしては非常にオイシイだろう。
そこで登場したのが“売れ筋の軽自動車×人気のSUV”という最強の組み合わせだ。2014年1月、「スズキ ハスラー」が発売して大ヒットを記録した。
ハスラーのボディは実用性で人気を高めた「スズキ ワゴンR」がベース。車内の広さからシートアレンジまでほとんど同じだ。ハスラーの最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)はワゴンRに比べて30mmほど拡大され、丸型ヘッドランプとSUV風の樹脂パーツを装着する。価格はワゴンRスティングレーよりも少し割安だから、実用的でカッコ良くて買い得な軽自動車になった。
そして2015年9月に登場した「ダイハツ キャスト」の「アクティバ」は、ハスラーのライバル車といえるだろう。キャストには3種類のボディが用意され、SUV風の「アクティバ」のほかに、メッキパーツを装着して都会的な上質感を演出する「スタイル」、2015年10月下旬に登場予定の走りを重視した「スポーツ」がある。
キャストの戦略は、3種類のボディでそれぞれ別の客層を獲得することだ。アクティバがハスラーのライバルなら、上質な雰囲気のスタイルは「ホンダ N-BOXスラッシュ」あたりと対抗する。スポーツは「ホンダ N-ONE」「スズキ アルトターボRS」などが想定される。いろいろな軽自動車のライバル車を一手に引き受けるねらいがある。
なおキャストの基本部分は「ダイハツ ムーヴ」と共通。ワゴンRをベースにしたハスラーの成り立ちに似ている。
ダイハツ キャスト vs スズキ ハスラー/エクステリア比較
キャストアクティバとハスラーに焦点を絞って比べていこう。
まずはボディサイズだが、軽自動車だから全長の3395mm、全幅の1475mmは、軽自動車の規格枠いっぱいで同じ数値だ。全高はキャストアクティバが1630mm、ハスラーは1665mmで35mmほど高い。
最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は、キャストアクティバ、ハスラーともに4WDが180mm、2WDが175mmで等しい。なのでキャストアクティバの天井が少し低い程度でほぼ同じ大きさだ。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はキャストアクティバが2455mm、ハスラーは2425mmで若干短い。キャストアクティバは4輪がボディの四隅に踏ん張って安定して見える。
外観のイメージは似ているが、見栄えは意外に違う。丸型ヘッドランプは共通でもキャストアクティバは細部に丸みを持たせ、ハスラーは直線基調に仕上げた。
キャストは前述のようにスタイルやスポーツも用意するから、いろいろなアレンジに対応できるデザインとした。対するハスラーは1種類のみだからSUVらしさを強調している。
視界には大差がない。最小回転半径もキャストアクティバが4.7m、ハスラーが4.6mで同程度に収まる。

ダイハツ キャスト vs スズキ ハスラー/動力性能比較
両車ともにノーマルエンジンとターボを設定した。
ハスラーはノーマルエンジンの「G」と「X」にS-エネチャージを採用。ISG(モーター機能付き発電機)を搭載し、減速時を中心とした主に電装品に電力を供給する発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動のサポート(ハイブリッド機能)を受け持つ。モーターの最高出力は2.2馬力と小さい。しかも駆動中はエンジン出力を弱めるから、一般のハイブリッドと違ってモーターの駆動力は体感できないが、燃費の節約は可能だ。
またアイドリングストップ後の再始動はベルトを介して行うため、スターターモーターと違ってギヤの音がしない。静かに再始動できる。乗員が煩わしさを感じにくく、従来のエネチャージに比べてアイドリングストップの頻度を増やせた。
そのためにISGを搭載したノーマルエンジンのJC08モード燃費は、2WDのCVT(無段変速AT)装着車では32km/Lに達する。キャストアクティバの数値は30km/Lだ。
エンジン特性も異なり、キャストアクティバのノーマルエンジンは、最高出力が52馬力(6800回転)、最大トルクは6.1kg-m(5200回転)になる。やや高回転指向で実用域の駆動力が乏しい。その点でハスラーは52馬力(6500回転)/6.4kg-m(4000回転)。最大トルクの発生を4000回転に抑えたから扱いやすい。
車両重量もハスラーが軽く2WDの「X」は800kg。キャストアクティバは「G」や「X」のSAIIが840kgだ。これらの違いによって、ノーマルエンジンはハスラーが優位。なおかつ燃費数値も上まわる。
ターボの動力性能は、キャストアクティバの最高出力が64馬力(6400回転)、最大トルクは9.4kg-m(3200回転)。ハスラーは64馬力(6000回転)/9.7kg-m(3000回転)。ターボもハスラーが少し勝る。JC08モード燃費はキャストアクティバが27km/L、ハスラーは26.8km/Lだから若干劣る。
エコカー減税は2WDで見るとキャストアクティバのノーマルエンジンは免税。「GターボSAII」は自動車取得税が80%、同重量税が75%の減税だ。
ハスラーはノーマルエンジンの「G」と「X」が免税。ターボは自動車取得税が60%、同重量税が50%の減税になる。

ダイハツ キャスト vs スズキ ハスラー/安全装備比較
キャストアクティバは、赤外線レーザーと単眼カメラを併用するスマートアシストIIを採用。先行車両に衝突する危険が生じた時の警報は、時速100kmを上限に行う。時速50km以下では歩行者も検知して、車両については緊急自動ブレーキを作動できる。さらに後方に向けた音波センサーも装着して、後退時などの検知も行う。
ハスラーのセンサーは赤外線レーザーのみだから、検知する対象は車両や建物で歩行者は含まれない。
システム価格はキャストアクティバが6万4800円、ハスラーは標準装着だが、アルトでは2万1600円だ。価格は機能に応じて異なるが、キャストアクティバの方が作動速度域が幅広く安心感が高い。
なおサイド&カーテンエアバッグはキャストアクティバではオプション設定され、「G」・「SAII」であれば6万4800円で装着できる。ハスラーには設定がない。
キャストアクティバは内外装の色彩の組み合わせが豊富だったりするが、機能はハスラーが勝る。
またキャストアクティバを最初に見た時、ハスラーを思い浮かべた読者諸兄は多いと思う。
2015年10月中旬時点で両車の公式ホームページを見ると、ボディカラーは両方ともにブルーで、キャストアクティバがハスラーに追従した印象だ。カタログでブルーに次いで多く掲載されるオレンジも、ハスラーを連想させてしまう。
ハスラーが登場した時には、かなり強いインパクトがあって好調に売れた。これにキャストアクティバが勝つのは難しい。競争を避ける意味もあってキャストはスタイルやスポーツも用意したが、いまひとつ中途半端な印象を拭えない。
以上のような点を踏まえるとハスラーを推奨したい。ただし前述のように機能の優劣は僅差。両車を乗り比べて判断すると良いだろう。また色彩でキャストアクティバを選ぶ手もある。



































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