
ホンダ 新型フリードとトヨタ 新型シエンタのプロフィール
ホンダ 新型フリードは1.5リッターのノーマルエンジンとハイブリッドを搭載したコンパクトなミニバンで、2016年9月16日にフルモデルチェンジを受けた。先代フリードの発売は2008年だから8年ぶりの一新になる。
新型フリードのライバル車はトヨタ 新型シエンタで、同様に1.5リッターのノーマルエンジンとハイブリッドを搭載する。2015年7月にフルモデルチェンジされた。今回はこの2車種を比べたい。
新型シエンタの売れ行きは絶好調だ。1ヶ月に1万台前後を登録しており、小型&普通車の販売ランキングではトヨタ プリウス、アクアに次いで3位に入る。発売時点の月販目標は7000台だから、発売後1年以上を経過しながら目標を上まわる。
新型シエンタが人気を高めた理由は、商品力のほかに2つの要素がある。まずは現行型の販売店がトヨタ4系列の全店になったこと。総数は4900店舗だから、ホンダカーズの2200店舗、日産の2100店舗に比べて2倍以上の販売網だ。
2つ目はコンパクトミニバンの車種数が少ないこと。今は大きなクルマから小さな車種に代替えするユーザーが増えており、その一方でコンパクトカーからミニバンに乗り替えるケースもある。コンパクトミニバンの需要は多いのに、車種はフリード、シエンタ、商用車をベースにした日産 NV200バネットワゴンしかない。
シエンタの登場時点でフリードは約7年を経過していたから、シエンタが好調に売れた。その意味では、フリードのフルモデルチェンジは遅すぎたといえるだろう。シエンタの独走を許してしまった。
ホンダカーズによると「フリードからシエンタに代替えするお客様は少ない」というが、新たにコンパクトミニバンを求めるユーザーの多くはシエンタを購入し、定番車種の立場を築いた。そこに新型フリードがいかに喰い込めるかが注目される。
なおフリードには3列仕様のほかに、荷室の機能を充実させた2列仕様のフリードプラスも用意されるが、ここでは3列仕様を取り上げる。
ボディサイズ・デザイン・視界比較/新型フリード vs 新型シエンタ
フリードのボディサイズは全長が4265mm、全幅は1695mm、全高は1710mm。シエンタのボディサイズは全長が30mm短い4235mm、全幅は同じで、全高は35mm低い1675mmになる。それでもサイズは同等と見て良い。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はフリードが2740mm。シエンタは10mm長く、背が少し低いこともあって外観をワゴン風に見せている。
フリードはミニバンらしさが濃厚だ。フロントマスクやボディサイドのデザインは、フリードが車内の広さを表現したミニバンらしい形状に仕上げた。シエンタのデザインは、冒険的というか新鮮味が伴う。
視界では優劣が分かれる。フリードは前方視界が良く、サイドウインドウの下端も低めに抑えた。右側のサイドウインドウを開くと後輪が少し見えて、側方視界が優れている証だ。駐車場の白線に合わせる操作もしやすい。
対するシエンタは、前方視界は良いが、サイドウインドウの下端が高めで側方と斜め後方は少し見にくい。後輪も視野に入らない。デザインに個性を持たせた代わりに、視界が若干犠牲になった。
最小回転半径は両車ともに5.2mで等しい。
勝者:フリード
内装・インパネ比較/新型フリード vs 新型シエンタ
新型フリードの内装のデザインはオーソドックスな水平基調。メーターはインパネ最上部の奥まった位置に装着され、視線と目の焦点移動を抑えた。
質感は1.5リッタークラスの車種では高く、ステップワゴンのユーザーが代替えしても不満は生じないだろう。エアコンのスイッチはATレバーの左側に装着され、位置が比較的高いので手が届きやすい。
新型シエンタの内装は新型フリードに比べて個性的。
デザインは立体的で、素材は樹脂だが革風でステッチを入れたような表現をしている。この質感も高い。
メーターは新型フリードと同様にインパネ上部の奥まった位置に装着されるが、位置が高く少し圧迫感を抱く。特に小柄なドライバーは注意したい。操作性は良いが、機能性が高いのは圧迫感を伴わない新型フリードだ。
勝者:フリード
1~3列目シートの座り心地・居住性比較/新型フリード vs 新型シエンタ
1列目シートの座り心地は互角。両車ともに体が適度に沈んだところでしっかり支える。
2列目シートは両車ともに6/7人乗りの2種類を用意する。新型フリードの6人乗りは両側にアームレストを備えたセパレートタイプで座り心地が快適。7人乗りのベンチシートに比べて腰が若干落ち込むが、背もたれと座面のサポート性が良い。またセパレートタイプはベンチタイプに比べてスライド量が長い。
3列目シートに乗員が座らない時は、膝先空間をベンチタイプよりも120mm拡大できる。身長170cmの乗員が1・2列目シートに座った場合、後席の膝先空間はベンチシートでは最大で握りコブシ2つ半だが、セパレートシートなら3つ半まで拡大できて快適だ。新型シエンタの6人乗りは中途半端。ベンチシートに似た形状で、中央にはアームレストと収納設備が備わる。座り心地は純粋なベンチタイプの7人乗りが快適だ。
また新型フリードと違って6人乗りでも左右シートの中央に空間がないから、車内の移動がしにくい。3列目シートのスペースはフリードが広い。
身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、3列目シートの膝先にコブシ1つ分の余裕ができる。新型シエンタでは、2列目の膝先をコブシ1つ分まで詰めても、3列目の膝先空間はコブシ半分程度だ。
ただし新型シエンタは薄型燃料タンクの採用で3列目シートの床が低く、座面との間隔に余裕があるから腰が落ち込みにくい。また3列目シートに座った乗員の足が2列目の下側に収まりやすく、膝先空間は狭くても着座姿勢に無理がない。新型フリードは空間的には広いが、床が高いので膝が持ち上がって大腿部のサポート性が下がる。
3列目の乗員の足は、新型シエンタと違って2列目の下側に収まりにくい。天井と座面を各30mmほど高めると、居住性は大幅に向上する。新型フリードの床面地上高で、全高が1710mmというのは低すぎるのだ(ステップワゴンは床面地上高は同等だが全高は1840mm)。それでも3列目の座面は新型フリードが柔軟で、2列目も新型シエンタよりは快適だ。居住性を総合的に見ると新型フリードが勝る。
勝者:フリード

エンジン・動力性能比較/新型フリード vs 新型シエンタ
フリードの車両重量はノーマルエンジン車が1350kg(2WD/6人乗り)、ハイブリッドは1410kg(2WD/6人乗り)。
1.5リッターエンジン車ではボディが重いが、ノーマルエンジンでも力不足はあまり感じない。幅広い回転域で直線的に吹き上がり、クセのない性格だから扱いやすい。
ハイブリッドは、エンジン回転が下がった状態でモーター駆動の支援が効果的に行われて運転がしやすい。
シエンタはノーマルエンジン車の車両重量が1320kg、ハイブリッドが1380kg。フリードよりも若干軽いが、ノーマルエンジンは2000~3500回転付近の実用回転域が少し物足りない。ハイブリッドになると低回転域の力不足をモーターがカバーするが、動力性能を比較するとフリードが少し有利だ。
勝者:フリード
走り・走行性能比較/新型フリード vs 新型シエンタ
新型フリードは先代型に比べてサスペンションの取り付け剛性などを高め、走行安定性を向上させた。操舵に対する反応が正確になり、ステアリングのギヤ比もクイックにしたから、運転感覚が自然な印象になっている。
ただしそれでも操舵感は穏やかだ。背の高いミニバンとあって後輪の接地性に重点を置き、走行安定性は満足できるが峠道などでは旋回軌跡が拡大しやすい。
その点で新型シエンタは、全高が少し低くホイールベースが長い効果もあって運転感覚はワゴンに近い。新型フリードほど後輪が徹底的に踏ん張るタイプではなく、特にハイブリッドは旋回時の接地性が若干下がるが、車両を内側に向けやすい。
操舵感や曲がりやすさも含めると、走行安定性は新型シエンタが優れている。
勝者:シエンタ
乗り心地比較/新型フリード vs 新型シエンタ
乗り心地は両車とも少し硬めに感じる。燃費向上のために転がり抵抗を抑えたタイヤを装着して、指定空気圧も240kPa前後と高めになるからだ。
その上で比べると、新型フリードの乗り心地は新型シエンタよりも少し硬い。路面のウネリなどを乗り越えた後は挙動を安定させるが、低い速度で走ると路上の細かなデコボコを伝えやすい。
これに比べると新型シエンタは、足まわりが柔軟に動いて路上のデコボコを抑え込む。
乗り心地は、市街地走行を中心に新型シエンタが快適に感じる。
勝者:シエンタ

安全装備比較/新型フリード vs 新型シエンタ
フリードはホンダセンシングを用意する。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用して、車両に対しては時速100kmでも緊急自動ブレーキを作動させる。
歩行者の検知も行い、時速80kmを上限に緊急自動ブレーキが作動する。さらに時速40km以下で走行中に、路側帯を通行する歩行者と接触しそうな時には、ステアリングを制御して回避操作を支援する機能も設けた。車線逸脱の警報、道路標識をマルチインフォメーションディスプレイに表示する機能も備わる。
ミリ波レーダーと単眼カメラを活用して運転支援も行われ、車間距離を自動制御しながら先行車に追従走行するクルーズコントロールを採用した。作動中はドライバーはペダル操作をする必要がない。車線の中央を走れるようにハンドル操作を支援する機能も備わる。
1.5リッターエンジン搭載車の中では、安全装備の充実度が高い。Gホンダセンシングの価格は非装着のGに比べて12万円高いが、右側スライドドアの電動機能(オプション価格は5万4000円)もセットで備わる。
従ってホンダセンシングの単品価格は6万6000円と安い。ただしGにホンダセンシングをオプションで加えると、10万8000円になるので注意したい。
ホンダ車の場合、グレードやセットオプションの構成と価格が複雑で分かりにくく不親切だ。シエンタはトヨタセーフティセンスCを採用する。赤外線レーザーと単眼カメラを使って、時速80km以下で緊急自動ブレーキを作動させる。車線逸脱の警報機能もあるが、歩行者の検知はできない。車間距離を自動制御するクルーズコントロールの機能もない。オプション価格は5万4000円だが、機能を考えるとホンダセンシングが割安だ。
勝者:フリード
燃費比較/新型フリード vs 新型シエンタ
JC08モード燃費を2WDで見ると、新型フリードはノーマルエンジン車が19km/L。エコカー減税は自動車取得税が60%、自動車重量税が50%の減税だ。ハイブリッドは27.2km/Lで、エコカー減税は両方ともに免税となる。新型シエンタはノーマルエンジン車のJC08モード燃費が20.2km/Lで、エコカー減税は新型フリードと同様に60/50%の減税。ハイブリッドは27.2km/Lで免税だ。ほぼ同水準だが、ノーマルエンジンの燃費数値は新型シエンタが少し勝る。
勝者:シエンタ
ミニバンの機能とはあまり関係ないが、新型シエンタの外観に魅力を感じるユーザーは多いだろう。対する新型フリードは、フィットとステップワゴンの中間的なデザイン。ミニバンの典型的な形状で一種の安心感はあるが、新型シエンタに比べると保守的だ。
また運転感覚は新型シエンタが軽快で乗り心地も少し勝り、フリードに差を付けている。
総合的に買い得なのは新型フリードだが、運転感覚などは乗り比べて判断したい。なお、新型フリードの納期はノーマルエンジン車が2ヶ月、ハイブリッドは3ヶ月となる。新型車の割にあまり伸びていない。一方、新型シエンタは高人気で、発売後1年以上を経過しながら2~3か月を要している。つまり納期は同等だ。
勝者:フリード
カテゴリ別勝者一覧
ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較:フリード
内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較:フリード
前後席の居住性比較:フリード
乗降性比較:シエンタ
荷室比較:フリード
動力性能比較:フリード
走行安定性比較:シエンタ
乗り心地比較:シエンタ
安全装備比較:フリード
燃費性能とエコカー減税比較:シエンタ
グレード構成と価格の割安感比較:フリード
総合評価/どっちが買い!?:フリード









































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