
今は小さなクルマに代替えするユーザーが増えたこともあり、軽自動車と並んでコンパクトカーの売れ行きも好調だ。
小型車の中でも特にサイズが小さく、価格も安い。そのために軽自動車からコンパクトカーに代替えするユーザーも少なくない。コンパクトカーはいろいろな点で効率を重視して開発されるが、スペースの点で高効率なのは背の高いスライドドアを備えた車種だ。
そんなスライドドアを備えたコンパクトカー「スズキ ソリオ」が2015年8月にフルモデルチェンジを受けたので、ライバル車である「トヨタ ポルテ」&「トヨタ スペイド」と比べてみたい。
新型ソリオ・ソリオバンディッド vs ポルテ・スペイド/外装比較
ボディサイズは、ソリオに特徴がある。全長は3,710mmと短く、全幅は小型車では最も狭い1,625mmだ。その一方で天井は高く、全高(車高)は1,745mmに達する。幅が狭くて背が高い外観は軽自動車のスペーシアに似ているが、空間効率は抜群だ。
ポルテ&スペイドは、全長が3,995mmで全幅は5ナンバーサイズいっぱいの1,695mm。全高(車高)は2WDが1,690mmだ。ソリオに比べると285mm長く、70mm広く、55mm低い。5ナンバーサイズに収まるミニバンの全長を短く抑えたような外観に仕上げた。
このボディサイズはソリオに比べると一般的な数値だが、ポルテ&スペイドはボディ形状が左右非対称になる。右側には2枚の横開きドア、左側には1枚の開口部がワイドなスライドドアを装着する。
| ソリオ/ソリオバンディッド ボディサイズ比較 | ||||
|---|---|---|---|---|
| ソリオ | バンディッド | ポルテ | スペイド | |
| 全長 | 3,710mm | 3,995mm | ||
| 全幅 | 1,625mm | 1,695mm | ||
| 全高(車高) | 1,745mm | 1,690mm | ||
| ホイールベース | 2,480mm | 2,600mm | ||
| 室内長 | 2,515mm | 2,160mm | ||
| 室内幅 | 1,420mm | 1,420mm | ||
| 室内高 | 1,360mm | 1,380mm | ||
| 車重(重量) | 950kg | 1,170kg | ||
フロントマスクはポルテが先代型と同様に柔和な印象。現行型から設定された姉妹車のスペイドは少し精悍なイメージだ。
取り扱いディーラーは、ポルテがトヨタ店とトヨペット店、新たに加わったスペイドはカローラ店とネッツ店になる。両車ともにボディスタイルは水平基調で、視界も良いが、斜め後方はソリオが見やすい。また右側のサイドウィンドウを開いて顔を出した時も、ソリオは後輪が少し視界に入るがポルテ&スペイドはほとんど見えない。
ソリオは駐車性も優れている。取りまわし性もボディがコンパクトなソリオの方が有利。最小回転半径はソリオが4.8m、ポルテ&スペイドが5.0mになる。小回りの利きはソリオが勝るが、ポルテ&スペイドも不満はない。
外観デザインの評価は見る人によって異なるが、視界と取りまわし性はソリオが優れている。
新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/内装比較1
内装の雰囲気は天井の高いコンパクトカーとあって開放的だ。
インパネは両車ともメーターを中央寄りの高い位置に装着。視線が少し左に寄るものの、高く奥まった位置に備わるから視認性は良い。
インパネの中央部分は縦長のデザイン。ポルテ&スペイドのエアコンスイッチは取り付け位置が下がるが、操作がしにくいとは感じない。内装の質感、操作性と視認性は両車ともに互角のレベルだ。
乗降性はどうか。ソリオは前席のドアが横開き、後席はスライド式とした。スライドドアは現行型で開口幅を60mm広げて640mmとしており、乗降性が向上。路面から床までの高さは、スライドドアの部分で360mmになる。
ポルテ&スペイドは、先に述べたようにボディが左右非対称。右側のドアは横開きだから乗降性はごく普通だ。左側のスライドドアはワイドに開き、開口幅は1,020mmに達する。
1枚のスライドドアだから、開口幅がワイドでも後席の乗員が左側から乗り降りする時は不便。助手席を大きく前方にスライドさせるといった手間を要する(なので助手席の足元を広げた)。
その代わりに、ポルテ&スペイドの助手席の乗降性は抜群だ。少し後方に寄せてスライドドアを開くと、助手席が丸見えになって体を捩らずに乗降できる。しかもスライドドア部分の床面地上高は300mm。ソリオよりも60mm低く足をあまり持ち上げずに乗り込める。
ちなみに高齢者が階段などで足を持ち上げる場合、段差が300mmを超えると辛くなるという。そこで床面地上高を300mmに抑えた経緯がある。
乗降性は一般的な使い方なら4つのドアを備えたソリオだが、助手席の乗降性はポルテ&スペイドが圧倒的に優れている。
新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/内装比較2
ソリオの前席は、サイズに余裕を持たせて座り心地が快適だ。バンディットはシートの生地が少し滑りやすく、体のサポート性がいまひとつだが、標準ボディは柔軟で座り心地が良い。日常的な移動に適する。頭上には握りコブシが3つ入る余裕を持たせた。
ポルテ&スペイドの前席は、ソリオに比べると走る距離を少し長く想定している。座面の後方と背もたれの下側が少し硬く、着座姿勢が乱れにくいために長時間の乗車も快適だ。背もたれは腰を包む形状でサポート性が良い。頭上の空間はソリオと同じ握りコブシ3つ分になる。
なお、ポルテ&スペイドの前席にはベンチタイプとセパレートがある。ベンチタイプは運転席の座面がワイドで柔軟性が少し勝るが、ポルテ&スペイドの内装の特徴は、後席を含めた幅広いシートアレンジだ。この特徴を生かしやすいのは、車内の移動性が優れたセパレートシートだろう。
ベンチ/セパレートは好みや使い方に応じて選べば良いが、商品の特徴や内装との相性が良いのはセパレートになる。
後席は、ソリオについては座ったときの底突き感などが抑えられておおむね快適だ。ただし腰が少し落ち込む印象で、背もたれは全体的に柔らかい。腰の当たる部分は、もう少し硬めにしっかり造り込むと良いだろう。
ボディはコンパクトでも、頭上や足元は広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は、前席の背面に備わるテーブルを格納した状態で握りコブシ3つ半。これを含まなければ4つ分になる。
頭上の空間も握りコブシ2つ半を確保して余裕がある。
ポルテ&スペイドの後席は、硬さが適度で床と座面の間隔も十分に確保した。座り心地は良好だ。後席に座る同乗者の膝先空間は、前述の測り方で握りコブシ3つ半。頭上は2つ分になる。ソリオを少し下まわるが、内装にこれだけの広さがあれば不満はない。
ちなみに後席の足元空間は握りコブシ3つ分あれば十分で、それ以上広がっても実質的な居住性にはあまり差が付かない。前後席の座り心地はポルテ&スペイドが少し快適。居住空間の広さは両車ともに互角だ。
そしてリアゲートの開口部寸法は、ソリオは幅が1,065mmで高さが960mmだが、ポルテ&スペイドは1,040/810mmだ。幅、高さともにソリオが広い。
なのでリアゲートから荷物を出し入れする機能は、シートアレンジを含めてソリオの圧勝だ。
その半面、ポルテ&スペイドは違う使い方ができる。主力グレードでは後席の座面を持ち上げることが可能だ。この状態では車内の中央に広い空間が生まれ、助手席を前方に寄せるとスライドドア付近の間口も広がる。なので床面地上高の低いスライドドアから、自転車などを車内の中央に積み込める。
衝突時のことを考えると、ソリオを含めて加害性の強い荷物の積載は推奨できないが、ポルテ&スペイドはスライドドアを生かした荷室に特徴がある。
なお、ポルテ&スペイドで価格の安いXとVには、後席の座面を持ち上げる機能が付かない。この仕様ではメリットが半減するので、Y/F/Gから選びたい。
以上のように荷室の使い勝手は、一般的にはソリオが勝る。ただし後席の座面を持ち上げてスライドドアから車内の中央に荷物を積む機能は、ポルテ&スペイドならではだ。

新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/スペック比較
ソリオが搭載するエンジンは1200cc。Gを除く主力グレードには、マイルドハイブリッドの名称が付く。
モーター機能付き発電機のISGが、電装品に電力を供給する発電、アイドリングストップ後の再始動、モーター駆動の支援(ハイブリッド機能)を兼任する。モーターの最高出力は3.1馬力と小さいので、一般的なハイブリッドとは違うが、低価格で効率を高めた。
ポルテ&スペイドが搭載するエンジンは1,500ccのみ。以前の1,300ccは廃止された。
ソリオのエンジン性能は、最高出力が91馬力(6,000回転)、最大トルクは12.0kg-m(4,400回転)だ。ポルテ&スペイドは2WDの場合で109馬力(6,000回転)/13.9kg-m(4,400回転)になる。
ソリオが低回転域で若干のモーター駆動を感じることはあるが、動力性能への影響はほとんどない。だから加速感の力強さを競えばポルテ&スペイドが勝る。
ただしソリオはボディが軽い。主力グレードの車両重量は950kgに収まり、ポルテ&スペイドを220kg前後は下まわる。そのために運転感覚は軽快で、登坂路での力不足も感じにくい。
結果、動力性能はポルテ&スペイドが勝るものの、さほど差は付かない。
| ソリオ/ソリオバンディッド 主要スペック表 | ||
|---|---|---|
| ソリオ | バンディッド | |
| グレード | MZ | MV |
| 価格(税込み) | 1,841,400円 | 1,825,200円 |
| 燃費 | 27.8km/L | |
| 駆動方式 | 2WD | |
| 排気量 | 1.2L | |
| エンジン最大出力 | 91ps/6,000rpm | |
| エンジン最大トルク | 12.0kg・m/4,400rpm | |
| モーター最大出力 | 3.1ps/1,000rpm | |
| モーター最大トルク | 5.1kg・m/100rpm | |
新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/走行安定性・乗り心地比較
背の高いコンパクトカーやミニバンは、当然ながら重心も高い。機敏に向きを変えると走行安定性の確保が難しくなるので、車両の動きを鈍めに抑える。
ところがソリオは機敏ではないが、鈍さを感じさせずに向きが変わる。少し積極的にカーブを曲がっても、旋回軌跡を拡大させにくい。その一方で後輪の接地性も確保され、重心が高い割にバランスの良い動きを見せる。
これは前後にスタビライザーを備えた2WDの主力グレードの話。この装備を持たないGはボディが唐突に傾くが、ハイブリッドMX/MZ、バンディットハイブリッドMVを選べば、走りの良さを味わえる。
新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/燃費性能・エコカー減税比較
ソリオのマイルドハイブリッド搭載車は、2WDの主力グレードで見るとJC08モード燃費が「27.8km/L」。ポルテ&スペイドもアイドリングストップなどは装着して「22.2km/L」だ。排気量、低燃費技術、さらに車両重量の違いもあって、ソリオの燃費数値はポルテ&スペイドの約125%に達する。
エコカー減税は両車ともに該当する。ソリオは自動車取得税が80%、自動車重量税が75%軽減され、ポルテ&スペイドは60/50%の軽減だ。
新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/価格比較
ソリオのグレード構成は標準ボディが3種類、これにバンディットが加わる。
推奨グレードは標準ボディのハイブリッドMXで、価格は169万5600円だ。これにデュアルカメラブレーキサポートを加えると175万5000円になる。
ポルテ&スペイドのグレードは5種類で、前席がセパレートタイプになるFが買い得。価格は175万8437円だ。
ソリオハイブリッドMXにはエアロパーツやアルミホイールが標準装着され、ポルテ&スペイドにはこれらが付かない。さらにスマートエントリーも5万1055円のセットオプションだから、実質的に180万円を超える。
従って装備の違いも含めると、25万円くらいはソリオが安い。
新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/総評
ソリオは前述のようにボディが小さく、外観は背の高い軽自動車に似たところがある。だから心情的には、何となくポルテ&スペイドの方が立派で買い得に思える。
しかし車内の広さは同等で、シートアレンジ、燃費性能などはソリオが勝る。さらに衝突回避の支援機能は、ポルテ&スペイドでは装着できない。
これらの違いを考えると、機能と価格のバランス、先進性でソリオが買い得だ。
ポルテ&スペイドも助手席の乗降性が抜群に優れ、福祉車両の要素を兼ね備える優れた商品だが、少なくとも安全装備の充実は急務になっている。































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