
ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較
イグニスはフロントマスク、ボディサイドともに直線的なデザインで、フェンダーに張り出しを持たせた。車両を前側から見ると、サイドウインドウを上に向けて絞り込み、台形のデザインにすることで視覚的な安定感を強調している。
最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は全車にわたり180mmを確保して、路上のデコボコを乗り越えやすい。いわゆるSUV風に仕上げた。
フィットはイグニスと対称的で、ボディ全体に丸みのある卵型だ。ボリューム感を演出した。
ボディサイズは、イグニスの全長が3700mm、全幅は1660mmと狭めで、全高は1595mmと少し高い。最近は背の高い車種に対応した立体駐車場もあるが、一般的に全高が1550mm以下になる。ユーザーによっては45mmの差で立体駐車場を使えないのは惜しいだろう。将来的には最低地上高を130mm程度に抑え、立体駐車場の利用性を向上させた仕様が追加される可能性もある。
フィットは全長が3955mmで、全幅は5ナンバー規格いっぱいの1695mm。全高は1525mmだ。イグニスに比べると255mm長く、35mm広く、70mm低い。イグニスと違って立体駐車場を使いやすい全高とした。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はイグニスが2435mm、フィットは95mm長い2530mmになる。それでも全長に255mmの差があるので、イグニスはボディ前後の張り出しを抑え、4輪がボディの四隅に配置されている。
運転席に座った時の視界は、イグニスのボディは水平基調だからボンネットの手前が少し見える。インパネの上面も低めに抑えて前方が開けた印象だ。
フィットはボンネットがほとんど見えず、フロントウインドーを寝かせたから、ボディの先端位置も感覚的に分かりにくい。それでも斜め前方は三角形の小さなウインドーを装着して視界に配慮した。側方の視界は両車とも同程度だ。
後方は両車ともに見にくい。イグニスはサイドウインドーの後端部分をキックアップさせ、真後ろのリアウインドーも下端が高めだ。フィットはサイドウインドーの下端を後ろに向けて持ち上げた。いずれも外観を躍動的に見せる目的で、ドライバーの可視範囲を狭めている。
最小回転半径はイグニスが4.7m。フィットは1.3リッターエンジンを積んだベーシックな13G・Fパッケージは4.7mで等しく、16インチタイヤ装着車は5.2mに拡大する。
取りまわし性は最小回転半径が同じでもイグニスが勝る。ボディが小さく、四隅の分かりやすい直線基調になるからだ。

内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較
インパネなど内装のデザインは、イグニスの場合、外観と同じく直線基調でデザインされた。
カーナビのモニター画面には後付け感が伴うが、視認性や操作性は良い。ただしエアコンのスイッチは、取り付け位置が低く、操作時の視線移動が大きい。
フィットのインパネは、中央部分がドライバーの方を向いて、操作性の向上を図った。
オートエアコンのタッチパネルを使ったスイッチは、見栄えは良いが操作性がいまひとつ。両車ともエアコンに不満がある。
内装の上質感はフィットが勝る。イグニスも不満はなく、独特のシンプルな良さもあるが、一般的にはフィットの見栄えが良い。
前後席の居住性
前席の座り心地は同程度。座面のボリューム感、大腿部や肩まわりの支え方など、両車ともコンパクトカーでは満足できる。イグニスは背もたれの下側を硬めに仕上げて体をしっかり支えるが、フィットと大差はない。
後席の座り心地はフィットが快適。座面の奥行寸法に不足はなく、多彩なシートアレンジを可能とした割には柔軟だ。
イグニスの後席は座面の前後方向の短さが気になる。フィットを25mm下まわり、大腿部の支え方に違和感が伴う。床と座面の間隔は十分に確保したが、柔軟性が乏しく、座面の角度が水平に近いために腰の収まりも良くない。
後席に座る同乗者の膝先空間は、身長170cmの大人4名が乗車した状態で、イグニスが握りコブシ1つ半。フィットは握りコブシ2つ半になる。なのでフィットに余裕があるが、イグニスも前席の下に十分な空間があって足が収まりやすく、窮屈には感じない。
頭上の余裕はイグニスが握りコブシ半分程度で、フィットは1つ分。前述の座り心地も含めると、後席の居住性はフィットが勝る。

荷室比較
イグニスの荷室は、リアゲートの開口部の下端が高めで地上高は740mmになる。後ろ姿をカッコ良く見せるためでもあるが、荷物を収納する時は高く持ち上げる必要がある。その代わり床下に大型の収納ボックスを設けた。
後席には左右分割式の前後スライド機能が備わり、165mmの調節幅がある。6:4に分割して前方に倒す機能も採用した。倒した状態ではフラットな荷室になって使いやすい。
フィットはリアゲートの開口部が低く、地上高を約600mmに抑えた。なので荷物を高く持ち上げずに積める。
そして燃料タンクを前席の下に搭載するホンダ独自の設計だから、荷室の床も低い。後席は床面へ落とし込むように畳めるから、2名乗車時には、容量の大きなボックス状の荷室に変更できる。
また後席の下に空間があるので、座面を持ち上げると車内の中央に背の高い荷物を積める。イグニスと違って後席を前後にスライドさせる機能はないが、ユニークなシートアレンジを可能にした。
ボディ/サスペンション/走行安定性比較
イグニスの場合、ハンドルを切り込んだ時の反応が若干鈍く感じる。積極的に曲がれば旋回軌跡を拡大させやすいが、後輪の接地性は高い。今日の車両開発の流れに沿った安定指向になる。
旋回中に制動した時の4輪ABSの作動は、ブレーキ油圧の増減制御をもう少し綿密に行うと良いが、全般的に運転しやすい。最低地上高を高めたことも、ほとんど意識させない。ここでもボディの軽さが利いている。クセのない運転感覚だ。
フィットはイグニスに比べるとスポーティー。ベーシックな13G・Fパッケージでも、操舵感が少し機敏になる。なのでコンパクトカーとしては、車両を回り込ませやすい。その代わり後輪の接地性が少し削がれる。基本的には安定指向だが、イグニスに比べると味付けの範囲内で機敏な動きを重視している。
乗り心地比較
イグニスは乗り心地が硬めだ。感覚的にいえばタイヤの硬さを感じる。バタバタした粗い印象はないが、角が少し立っている。装着していたタイヤは16インチ(175/60R16)で、銘柄はブリヂストン・エコピアEP150。指定空気圧は前輪が250kPa、後輪は220kPaだ。転がり抵抗の小さな低燃費指向のタイヤを装着して、なおかつ指定空気圧は少し高い。最低地上高に余裕を持たせた影響もあると思うが、SUV風の外観には、もう少し柔軟な乗り心地が似合う。ただしこのサイズのクルマでは、多くを望みにくいこともあるだろう。
フィットも機敏な操舵感と引き替えに乗り心地が少し硬いが、以前に比べると改善された。もう少し柔軟性が伴うと好ましいが、イグニスに比べると快適だ。
装着していたタイヤは14インチ(175/70R14)のダンロップ・エナセーブEC300。これもエコタイヤだが14インチで、指定空気圧は前輪が220kPaで後輪は210kPa。なのでイグニスに比べると有利になった。
価格の安さが重視される軽自動車であれば赤外線レーザー方式も理解できるが、コンパクトカーのフィットでは、グレードアップをめざすべきだ。ヴェゼルなどは、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用するホンダセンシングに向上させており、フィットもこの方式を使う時期にきている。
ちなみにヴェゼルのホンダセンシングの単品価格を算出すると7万円。フィットのあんしんパッケージは、サイド&カーテンエアバッグを含めて6万1715円だから価格差は小さくないが、搭載車が増えればコスト低減も進む。
イグニスのセーフティパッケージ装着車は、サイド&カーテンエアバッグも含めて9万7200円の上乗せだ。やや高価だが、機能を考えればイグニスが割安になる。














































コメント
コメントを投稿