
フルモデルチェンジの「スバル レガシィアウトバック」とSUVで人気の高い「トヨタ ハリアー」を徹底比較!
最近はスバル車に注目が集まることが多い。新型ワゴン「レヴォーグ」が登場し、スポーツセダンの「WRX」が一新されたことも記憶に新しい。そして、レガシィのフルモデルチェンジへと続く。いずれの車種も水平対向エンジンを搭載し、駆動方式は4WD(スバルはAWDと呼ぶ)。走行性能に優れており、運転の楽しさを満喫できる。
昨今、軽自動車やコンパクトカーの人気の高さを考えると、クルマ好きのユーザーにとって、趣味性を大切にするスバル車の相次ぐ登場は注目に値するだろう。
そこで、今回は「スバル レガシィアウトバック」に焦点を当てたい。レガシィアウトバックは新型になって流れを変えた。従来型はレガシィツーリングワゴンというベース車があり、そこにオーバーフェンダーの装着、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)の拡大といったSUV風のアレンジを加えたが、新型は違う。
ツーリングワゴンが世界的に廃止され、ワゴンスタイルのレガシィはアウトバックのみ。そこで全幅の数値をB4と共通化した。つまり派生車種の立場から脱した新型レガシィアウトバックは、フェンダー周辺のデザインを含めて、従来のツーリングワゴンに近い造られ方をしている。レガシィアウトバックがツーリングワゴンを吸収したともいえるだろう。
エンジンは2.5リッター水平対向4気筒。レヴォーグは1.6リッターターボを搭載するが、レガシィは車両重量とのバランスも考えて先代型の2.5リッターを踏襲した。それでもエンジンの部品の約80%を刷新したから、新開発と考えて良い。
ライバル車としては「トヨタ ハリアー」を取り上げたい。レガシィアウトバックのボディ形状は前述のようにワゴンに近く、アテンザワゴンなどもライバル車だが、今はSUVが人気だ。特にハリアーは、全幅が1,800mmを超える車種のベストセラーだから、比べる価値は高い。
レガシィアウトバック vs トヨタ ハリアー/エクステリア対決
まずはボディサイズだが、レガシィアウトバックの全長は4,815mm、全幅は1,840mmだ。日本車ではLサイズに属する。ハリアーは4,720mm/1,835mmで、全長はアウトバックよりも95mm短いが、全幅はほぼ同じだ。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はレガシィアウトバックが2,745mm、ハリアーは2,660mmだから85mm短い。全長を含めてハリアーは短めだ。全高はレガシィアウトバックが1,605mm、ハリアーは1,690mmと高い。
この数値の違いは、レガシィアウトバックがワゴンスタイル、ハリアーが純粋なSUVという違いに基づく。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)はレガシィアウトバックが200mm、ハリアーは2リッターのノーマルエンジンが190mm、ハイブリッドが175mmで少し差がある。
外観は、レガシィアウトバックはワゴン風のSUVでありながら、意外にオフロード色が強い。新型ではオーバーフェンダーを廃止したものの、フロントマスクには六角形のワイドなグリルが装着されてSUVの雰囲気は濃厚だ。カタログにも悪路のカットが掲載され、SUVらしさを意識している。
対するハリアーは日本国内の市場を重視してデザインされ、ねらいが分かりやすい。ヘッドランプの中央に位置するグリルは、透明なレンズ風で艶っぽい。SUVなのに都会が良く似合う。カタログに使われる写真も大半が舗装路で、悪路はほとんど見当たらない。
レガシィアウトバック vs トヨタ ハリアー/インテリア対決
内装は両車とも質感を重視した。
レガシィアウトバックは従来型の持ち味を踏襲した上で、細部までていねいに仕上げ、水平基調のデザインで扱いやすい。
パーキングブレーキは電動式。スイッチがATレバーの手前に装着されて便利だ。アイサイトのクルーズコントロール機能で自動停止した後は、パーキングブレーキも自動で作動する。
ハリアーの内装は、外観と同様に鮮やか。自発光式メーターが装着され、左側にはピアノブラック調のカーナビとエアコンのコントロールパネルが備わる。ATレバーはインパネの下側に装着した。助手席の前側などには革調の素材が使われ、ステッチも入って家具やバッグを連想させる。パーキングブレーキは従来と同様のペダル式だ。
このハリアーの雰囲気は、中高年齢層のユーザーとしては、何となくバブル経済の頃を思い出す。SUVでありながら、本質は日本的な高級感。新型ミニバンのトヨタエスクァイアも、内装を似たような感じに仕上げた。
操作性は両車とも悪くないが、レガシィアウトバックはデザインがオーソドックスで馴染みやすい。特にエアコンの温度調節は、ダイヤル式だから手探りで操作できる。ハリアーはタッチパネル式だ。
前席の座り心地は、両車とも快適。乗員の体が適度に沈んだ部分でしっかりと支える。サポート性にも不満はない。腰の張り出しを調節するランバーサポートは、ハリアーのグランド以外は両車の全グレードに備わる。
後席はLサイズのSUVとあって、広い空間を確保した。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は両車とも握りコブシ2つ半。頭上の空間も握りコブシ1つ少々となり、大人4名がゆったりと乗車できる。座面の柔軟性は両車とも十分とはいえず、少し硬めの印象。
そしてハリアーは大腿部のサポート性を向上させるため、座面の前側を大きめに持ち上げた。身長165cm以上の同乗者には快適だが、小柄な人が座ると大腿部を圧迫された感覚になりやすい。その点でレガシィアウトバックの後席は、クセのない座り心地で馴染みやすい。それでも基本的には、両車とも後席の居住性は快適な部類。頭上の適度な開放感は、リアウインドーが後席に近づくセダンでは得られないメリットだ。

対するハリアーは、直列4気筒の2リッターガソリンエンジンと直列4気筒の2.5リッターをベースにしたハイブリッドを設定した。
この内、2リッターガソリンエンジンはエコカー減税の適合を目的に排気量を小さく抑えた経緯がある。最高出力が151馬力(6,100回転)、最大トルクが19.7kg-m(3,800回転)という数値は、2リッターエンジンでは悪くないが、1,560~1,660kgのボディに組み合わせると登坂路などで力不足を感じやすい。吹き上がりは相応に良く、平坦路では実用上の不満を感じないが、豪華指向のハリアーには似合わない。
となれば、バランスが良いのはハイブリッド。エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は197馬力で、動力性能をノーマルエンジンに当てはめると2.7~3リッターに匹敵する。
低速時にはモーター駆動が主体の走行になり、加速感も滑らかだ。遮音は入念に行われ、発進後にエンジンが始動しても、ノイズが急速に高まる違和感はない。登坂路でアクセルを深く踏み込むと4気筒エンジンのノイズが少し響くが、豪華なハリアーらしい運転感覚を味わえる。
JC08モード燃費は、レガシィアウトバックが「14.6km/L」、ハリアー4WD・2.0エレガンスが「15.2km/L」、ハリアーハイブリッド4WDエレガンスが「21.4km/L」だ。
レガシィアウトバック vs トヨタ ハリアー/走行安定性対決
走行安定性は、両車ともSUVでは優れた部類に入る。特にレガシィアウトバックは、低重心で走行安定性はワゴンの水準だ。レヴォーグに比べると後輪の接地性が重視され、スポーティに走れば曲がりにくい場面もある。その代わり挙動が乱れにくく安心感が高い。機敏な印象は乏しいが、Lサイズのボディに相応しい落ち着いた運転感覚に仕上げた。
ハリアーはレガシィアウトバックに比べて重心が高く、前後左右のボディの揺れ方も拡大する。それでも走行安定性に不満はなく、適度な挙動の変化が運転している実感を高める場面もある。2リッターのノーマルエンジンは前述のように動力性能が不足気味だが、車両重量が1,600kg前後とあって操舵感は適度に軽快だ。
ハイブリッドは1,750~1,800kgだから軽快感は下がるが、直進安定性を重視した印象になる。
レガシィアウトバック vs トヨタ ハリアー/乗り心地対決
乗り心地はどうか。レガシィアウトバックは17インチと18インチのタイヤを設定。後者を履くリミテッドには、「スタブレックスライド」と呼ばれるショックアブソーバーを装着した。足まわりがゆっくりと大きく動くコーナリングやレーンチェンジの時は減衰力を高め、荒れた路面などで細かく上下に振れる時は、減衰力を抑えて乗り心地を向上させる。
この機能と相まって、18インチタイヤ装着車は、17インチに比べて旋回軌跡を拡大させにくくスポーティだが、乗り心地まで良好とはいえない。路面の段差などでは少し粗さを感じる。
レガシィアウトバックはスポーティな性格ではないから、ノーマルサスペンションを装着した17インチタイヤとの相性が良い。
ハリアーは2リッターよりもハイブリッドの方が重厚感が伴う。ボディが前後に揺れた時、モーターの駆動力を細かく増減させて、水平を維持する機能も備わる。レガシィアウトバックの17インチタイヤ装着車、同じく17インチを履いたハリアーハイブリッドの乗り心地は、互角の水準だ。

レガシィアウトバック vs トヨタ ハリアー/装備対決
装備については、レガシィアウトバックは、全車に衝突回避の支援機能&車間距離制御の可能なクルーズコントロールとして作動する「アイサイト ver.3」を標準装着した。
ハリアーは性能が少し下がるものの、プリクラッシュセーフティシステム&レーダークルーズコントロールを、10万8,000円から13万6,080円で設定している。
装備が同等のグレード同士で価格を比べると、レガシィアウトバックの標準仕様が「313万2,000円」。ハリアー 4WD・2.0エレガンス(307万4,400円)にプリクラッシュセーフティシステムを加えたタイプが「321万480円」。ハリアーハイブリッド 4WDエレガンス(377万4857円)にプリクラッシュセーフティシステムを装着して「391万937円」になる。
この損得勘定は、排気量の違いなども含めるとレガシィアウトバックが割安だ。ハリアーは、本来であればノーマルエンジンの排気量を2.5リッタークラスとすべきだが、エコカー減税に合わせて2リッターとしたからバランスが悪化した。
レガシィアウトバック vs トヨタ ハリアー/総評
結論をいえば、居住性は同等で走行性能はレガシィアウトバックが勝る。ハリアーでは、走りと燃費が良いのはハイブリッドだが、価格が高まってしまう。2リッターは動力性能が不足するので、レクサスNX200tが搭載する2リッターのターボが欲しい。
走行安定性は低重心のレガシィアウトバックが有利で、乗り心地は同等。価格はレガシィアウトバックが割安になる。
以上のように、機能別に見ていくとレガシィアウトバックが買い得だが、外観がワゴン風でSUVらしさは乏しい。その点でハリアーは艶っぽい上質な内外装が魅力で、趣味性を重視すれば選ぶ価値は十分にある。
ただし満足度の高い推奨グレードはハイブリッドだから、価格は400万円前後になってしまう。なので選択に迷ったとすればレガシィアウトバックを推奨するが、ハリアーはSUVの王道を行く存在でファンも多い。前述のように2リッターのターボを設定するなど選択肢を充実させて、購入しやすくして欲しい。
両車に共通する注意点として、ワイドなボディが挙げられる。全幅が1,800mmを超えるため、取りまわし性が良いとはいえない。後方の視界もいまひとつだ。購入時には縦列駐車や車庫入れを試しておきたい。
そしてスバルは、インプレッサスポーツをベースにしたコンパクトなXVを用意するので、トヨタにも、XVやマツダCX-3に相当するコンパクトな都会派SUVが必要だろう。






























コメント
コメントを投稿