
ホンダ「オデッセイ」とトヨタ「ヴェルファイア&アルファード(以下、今回はヴェルファイアで検証)」は、両車ともにLサイズの上級ミニバンだ。
従来型のオデッセイはフラットフロア構造を採用しないワゴン風のミニバンだったが、現行型は床を平らに仕上げた。従来型と違って3列目の床が燃料タンクの張り出しで持ち上がらず、3列目に座っても膝を抱える窮屈な姿勢にならない。ヴェルファイアと同じ成り立ちのミニバンになった。
そしてオデッセイは2016年2月にハイブリッドを加えて、売れ行きも堅調に推移している。以前は販売不振に悩まされたが、3月には4,757台と、ヴェルファイアの5,005台に近づく売れ行きとなっている。今後の販売動向こそ未知数だが、取り敢えずは元気を取り戻した印象だ。
そこでオデッセイとヴェルファイアをハイブリッド同士で比べることにしよう。
※一部の画像について、ヴェルファイア ガソリンモデルを使用しております。予めご了承ください。
ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較
両車の外観を比べると、ヴェルファイアハイブリッドはボディがひとまわり大きい。
全長/全幅/全高は、オデッセイハイブリッドが4830/1820/1685mm。ヴェルファイアハイブリッドは4930mm(ZRは4935mm)/1850mm/1895mmだ。後者は全長が100mm長く、さらに天井は210mm高い。全高の違いがヴェルファイアハイブリッドの存在感を際立たせた。
ただし取りまわし性が優れているのはオデッセイハイブリッドだ。
視線の位置が低いから、ボディの左側面や斜め後方の死角が小さい。ヴェルファイアハイブリッドは遠方が良く見える代わりに、全長と全幅が上まわるために車庫入れなどで気を使う。
最小回転半径もオデッセイハイブリッドが5.4m、ヴェルファイアハイブリッドは5.6mと差がある。オデッセイハイブリッドが運転のしやすいクルマとはいえないが、ヴェルファイアハイブリッドに比べれば、視界と取りまわし性が勝っている。
勝者:オデッセイハイブリッド
内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較
インパネ周辺を始めとする内装の質感は、ヴェルファイアハイブリッドが圧倒的に高い。メッキパーツを豊富に使って木目調パネルなどの光沢も強い。ミニバンというより車内の広いクラウンという雰囲気だ。
ミニバンはファミリーカーの代表とされるが、ヴェルファイアハイブリッドには、大人が多人数で移動するフォーマルなイメージがある。
対するオデッセイハイブリッドは、上質ではあるがミニバンらしくカジュアルだ。インパネのデザインも、ヴェルファイアハイブリッドは中央に配置された縦長のコンソールが高級感を醸し出すが、オデッセイハイブリッドは横長で開放感が伴う。
操作性や視認性は、両車ともに大差はないが、質感でヴェルファイアハイブリッドの勝ちだ。
勝者:ヴェルファイアハイブリッド

ヴェルファイアハイブリッドの2列目は、7人乗りのセパレートシートにも3種類を用意した。
ベーシックなリラックスキャプテンシート、両側に固定式アームレストを備えたエグゼクティブパワーシート、さらにベンチレーション機能や格納式テーブルを装着したエグゼクティブラウンジシートだ。
エグゼクティブパワーシートとエグゼクティブラウンジシートの見栄えは豪華だが、シートのサイズや座り心地は、リラックスキャプテンシートと大差ない。座面の前方が大きめに持ち上がり、オデッセイハイブリッドと同様、少し圧迫感が伴う。見栄えで選ぶならヴェルファイアハイブリッドだが、座り心地は同等か、オデッセイハイブリッドが少し勝る。
なお、セパレートシートで座面の前方が持ち上がるのは、オットマンを備えるためだ。
オットマンの本来の使い方は、少し持ち上げてふくらはぎを支えるもの。踵は床に着けておくべきだが、いずれの車種も大きく跳ね上がり、背もたれをいっぱいに倒せば寝そべった姿勢が取れる。この状態で衝突事故を起こせば、シートベルトが正常に機能しないが、腰が落ち込むと着座姿勢が多少は安定する。そこで座面の前側を持ち上げた。
いい換えれば、オットマンがシート本来の機能を損なっている。この欠点を避けたいなら、8人乗りのベンチシートを選ぶと良いが、ヴェルファイアハイブリッドではベーシックなXのみになってしまう。
荷室/シートアレンジ比較
両車ともに背の高いLサイズのミニバンだから荷室が広い。それでも3列目を格納して大きな荷物を積む時は、天井の高いヴェルファイアハイブリッドが便利だ。
ただしヴェルファイアハイブリッドは左右に跳ね上げて格納する。オデッセイハイブリッドは床下格納式だから、張り出しのないスッキリした荷室が得られる特徴がある。
勝者:ヴェルファイアハイブリッド

エンジン/動力性能比較
両車ではハイブリッドの機能が異なる。オデッセイハイブリッドは前輪駆動の2WDのみで、通常の走行はモーターが行う。2リッターエンジンは発電機として使われ、高効率な巡航時に限ってホイールを直接駆動する。
一方、ヴェルファイアハイブリッドは、発進時と巡航時はモーターのみだが、2.5リッターエンジンの直接駆動とモーター駆動を併用する場面が多い。駆動方式は後輪をモーターで駆動する4WDのみになる。
ハイブリッド自体の性能はヴェルファイアハイブリッドが勝るが、背の高いボディに4WDを組み合わせたこともあり、車両重量がオデッセイハイブリッドよりも260kgほど重い。
そのために加速力はオデッセイハイブリッドが優れている。モーター駆動が主体だから、速度が直線的に高まって滑らかに走れることも特徴だ。
勝者:オデッセイハイブリッド
乗り心地比較
乗り心地は、ミニバンでは両車とも快適な部類に入る。オデッセイのノーマルエンジン搭載車は、発売当初は硬さを感じたが、その後に改善された。ハイブリッドは快適だ。
それでもゆったりと足まわりが伸縮するのはヴェルファイアハイブリッドで、快適性はオデッセイハイブリッドよりも優れている。
勝者:ヴェルファイアハイブリッド

安全装備比較
装備で関心が高いのは、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備だろう。
オデッセイハイブリッドは、ホンダセンシングを大半のグレードに標準装着した。メーカーオプションで加えた時の単品価格は10万8000円になる。
センサーにはミリ波レーダーと単眼カメラを併用車両だけでなく歩行者も検知する。
車線を逸脱しそうになったり、路側帯の歩行者に衝突しそうになった時などは、回避操作を支援するようにハンドルに操舵力が働く。車線に沿って走れるよう、操舵を助ける機能もある。道路標識を認識して、制限速度などをディスプレイに表示することも可能だ。
ヴェルファイアハイブリッドは、プリクラッシュセーフティシステム&レーダークルーズコントロールを7万5600円のオプション価格で用意した(上級グレードは標準装着)。ただしトヨタセーフティセンスと違って世代が古く、センサーはミリ波レーダーのみ。歩行者の検知などはできず、安全装備はオデッセイハイブリッドの圧勝だ。
勝者:オデッセイハイブリッド
燃費性能と価格
JC08モード燃費は、オデッセイハイブリッドアブソルートホンダセンシング(7人乗り)が24.4km/L。価格は386万6400円になる。
ヴェルファイアハイブリッドは、JC08モード燃費が18.4km/L。前述のオデッセイハイブリッドと装備レベルが吊り合うのはハイブリッドZRで、価格は491万9891円だ。ヴェルファイアハイブリッドは4WDで、この換算額を30万円としても、オデッセイハイブリッドが75万円くらいは安い。燃費もオデッセイハイブリッドが優れている。
勝者:オデッセイハイブリッド

総合評価
居住性や荷室の使い勝手から走行性能、燃費、価格の割安感まで総合的に判断すると、オデッセイハイブリッドの買い得度が勝る。
勝敗を分けた一番のポイントは、オデッセイハイブリッドの低床設計だ。床が低いために、ボディがひとまわり小さくても居住性が優れ、3列目のシートに座っても膝の持ち上がる姿勢にならない。乗り降りもしやすい。
さらに全高も低くなってボディは軽く、動力性能/走行安定性/燃費にも良い効果をもたらした。安全装備も先進的で、機能と価格のバランスも勝る。総合的に見て、オデッセイハイブリッドが優れている。
ただしヴェルファイアハイブリッドは、内外装が突出して豪華で乗り心地も快適だ。日本のユーザーに受ける高級感では、オデッセイを大幅にリードしている。
なので「とにかく高級なミニバンに乗りたい!」というのであれば、ヴェルファイアハイブリッドの選ぶ価値が高まるだろう。


































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