
レヴォーグとレガシィツーリングワゴンを比較チェック!
スバルの新しい主力車種として「レヴォーグ」が注目されているが、その一方で2014年6月末にスバル「レガシィツーリングワゴン」がひっそりと生産を終えた。SUVスタイルの「アウトバック」、セダンの「B4」は日本でも次期型を販売するが、主力の「ツーリングワゴン」は設定されない。レヴォーグがレガシィツーリングワゴンの後継になる。
このような変則的なフルモデルチェンジを行う理由は、次期レガシィが現行型よりも海外指向を強めてボディを拡大するからだ。北米で扱われるレガシィB4の2015年モデルは、全幅が1840mmに達する。現行型は1780mmだから60mmの拡幅で、ひとまわり大きなクルマになってしまう。
そこでレガシィツーリングワゴンをレヴォーグに発展させた。レヴォーグの全幅は1780mmだから、国内向けのサイズとはいえないが、許容範囲に収まる。
レヴォーグ vs レガシィツーリングワゴン -動力性能・燃費対決-
まずはグレード構成だが、レヴォーグが搭載するエンジンは、すべて直噴式のターボ(DIT)になる。排気量は1.6リッターと2リッターを用意する。レガシィツーリングワゴンは、2.5リッターのノーマルエンジンと、レヴォーグと同じ2リッターの直噴ターボだ。
駆動方式は全車が電子制御式の4WD(スバルはAWDと呼ぶ)を搭載。レヴォーグの1.6リッターターボとレガシィツーリングワゴンの2.5リッターは、多板クラッチを用いたアクティブスプリット方式になる。2リッターの直噴ターボは、両車ともセンターデフを使ったVTD方式だ。つまり、レガシィツーリングワゴンの2.5リッターが、レヴォーグの1.6リッターターボに置き換えられたと考えれば良い。
動力性能も同等で、レヴォーグの1.6リッターターボは最高出力が170馬力(4800~5600回転)、最大トルクは25.5kg-m(1800~4800回転)。レガシィツーリングワゴンの2.5リッターは173馬力(5600回転)/24kg-m(4100回転)になる。
この2車の動力性能を比べると、余裕があるのはレヴォーグだ。実用性を重視したダウンサイジングターボとあって、実用回転域の駆動力を高めた。ターボのクセも抑えられ、レガシィツーリングワゴンの2.5リッターよりも力強い印象を受ける。
ただしレヴォーグの違和感が皆無というわけではない。巡航中にエンジン回転が1300回転前後まで下がった状態で緩い加速を行うと、反応が少し鈍く、1600回転付近から駆動力が立ち上がる。特にスバルのCVT(無段変速AT)は、ダイレクト感を重視して変速を抑えているから、ターボの特性を感じやすい。実用重視だから、高回転域の吹き上がりも大人しい。運転感覚としては、レガシィツーリングワゴンの2.5リッターが自然な印象を受ける。
レヴォーグの1.6リッターターボのメリットは、2.5リッター並みの動力性能を発揮しながら、燃費性能も優れていることだ。レヴォーグのJC08モード燃費は、17インチタイヤを装着した1.6GTと同アイサイトが17.4km/L。18インチの1.6GT-Sアイサイトが16km/Lになる。レガシィツーリングワゴンの2.5リッターは、16/17インチタイヤ装着車が14.4km/L、18インチは2リッターのターボと同じ12.4km/Lに下がる。燃費ではレヴォーグが明らかに有利だ。
一方、2リッターのターボは両車とも最高出力が300馬力(5600回転)、最大トルクは40.8kg-m(2000~4800回転)になる。排気量は2リッターでも、直噴式のターボによって動力性能は4リッター並みだ。両車ともに幅広い回転域で高い動力性能を発揮し、迫力のある加速を味わえる。
両車の動力性能を比べると、カタログ数値は同じでも運転感覚は異なる。レガシィツーリングワゴンの2.0GT・DITは、3000~4000回転付近における駆動力の盛り上がり感が比較的大きい。ターボの性格を感じるが、レヴォーグは直線的に吹き上がる。基本的には同じエンジンでも、レヴォーグの方が洗練されている。
2リッターターボのJC08モード燃費は、レヴォーグが13.2km/L、レガシィツーリングワゴンは12.4km/Lだ。両車ともターボにはアイドリングストップが付かない。それでもレヴォーグは、抵抗の少ないオルタネーター(発電機)を採用するなど、細かな低燃費技術によって燃費を向上させた。

レヴォーグ vs レガシィツーリングワゴン -走行安定性対決-
操舵感と走行安定性はレヴォーグが勝る。小さな舵角から、操舵に対する反応が正確だ。機敏に向きを変える設定ではないが、質感が高い。レガシィツーリングワゴンも同じ方向性だが、レヴォーグに比べると動きが少し鈍い。
走行安定性は、両車とも後輪をしっかりと接地させることを重視している。その上でレヴォーグは自然に曲がる感覚に仕上げた。レガシィツーリングワゴンも基本的には同じ方向性だが、ボディが少し重く感じる。車両重量も少し上まわるが、感覚的にはそれ以上の違いだ。
レヴォーグのプラットフォームは、基本的な造りはインプレッサに近いが、各部に補強を加えて次期型のWRXに近い仕上がりを見せる。ボディ剛性もレガシィツーリングワゴンに比べて40%以上高まり、ムダな動きが削ぎ落とされた。そのために車両の動きが正確になり、ボディが軽く感じられる。
乗り心地は、レヴォーグのホイールベース(前輪と後輪の間隔)がレガシィツーリングワゴンよりも100mm短く、前後方向の揺れという点では不利を伴う。それでも路面の細かな振動を吸収する能力はレヴォーグが勝る。これもボディの剛性を高めた効果が大きい。
レヴォーグ vs レガシィツーリングワゴン -室内空間対決-
以上のように走行性能、乗り心地、燃費性能については、レヴォーグが優れている。現行レガシィツーリングワゴンが登場したのは2009年5月、レヴォーグの正式発表は2014年4月だから、約5年間の隔たりがあり、レヴォーグは順当に進化した。
ただしボディサイズに左右される居住性は別だ。特に後席はレヴォーグよりもレガシィツーリングワゴンの方が快適に感じる。前述のようにホイールベースに100mmの差があり、全高も50mmほどレガシィツーリングワゴンが上まわるからだ。
身長170cmの大人4名が乗車した場合、レヴォーグの後席に座った同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ分少々。レガシィツーリングワゴンは3つ弱を確保する。
しかもレヴォーグは着座位置が少し低いので、腰が落ち込んで膝が持ち上がりやすい。レガシィツーリングワゴンの着座位置は適度で、自然な姿勢で座れる。頭上の空間も異なり、レヴォーグは握りコブシ1つ分、レガシィツーリングワゴンは2つ弱が収まる。レヴォーグの後席の居住性はインプレッサに近く、4名で乗車した時の快適性で選ぶならレガシィツーリングワゴンだ。
そしてレヴォーグの後席で注意したいのは、1.6GT-Sアイサイトと2.0GT-Sアイサイトだ。この2グレードの運転席には、電動ランバーサポートを備えたスポーツシートが装着され、後席の右側に座った乗員の足が運転席の下に収まりにくい。そのためにほかのグレードに比べて座り心地が窮屈になる。大人4名で乗車する機会の多いユーザーは注意したい。

レヴォーグ vs レガシィツーリングワゴン -装備対決-
装備については、レヴォーグのアイサイトがバージョン3に進化した。アイサイトは衝突回避の支援機能として人気の高い装備で、バージョン3はセンサーとして使うカメラの「視力」が高まり、視野の角度、遠方の視認性がそれぞれ40%ずつ拡大している。映像もカラーになり、先行車両のブレーキランプも認識し、早い段階で制動が行えるようになった。
そのために衝突を完全に回避できる対象物との相対速度差は、バージョン2の時速30kmから50kmに向上。衝突回避の支援性能を全般的に高めた。路面の白線を読み取って車線逸脱を警報する機能は以前から備わるが、バージョン3ではハンドルに力を加えて車線を維持する機能なども装着される。アイサイトの進化は、レヴォーグを購入する大きなメリットだろう。
レヴォーグ vs レガシィツーリングワゴン -価格対決・総評-
買い得グレードとその価格は、レヴォーグが1.6GTアイサイトで277万5600円。レガシィツーリングワゴンは2.5i・BスポーツアイサイトGパッケージで286万2000円になる。レガシィツーリングワゴンが8万6400円高いが、運転席と助手席の電動調節機能とアルミペダルが標準装着され、装備
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の違いを補正すればほぼ同額だ。
2リッターのターボは、レヴォーグ2.0GT-Sアイサイトが356万4000円、レガシィツーリングワゴン2.0GT・DITが374万7600円になる。この比較ではレヴォーグが明らかに安い。レヴォーグは2リッターのターボと4WD(VTD)の搭載に伴う価格上昇を、装備差を補正して約45万円としたが、レガシィツーリングワゴンでは60万円を超えるからだ。レヴォーグでは1.6リッターを含めてDITのコストを低減させ、買い得度を強めた。
従って2リッターのターボを選ぶなら、レヴォーグにすべき。特に2.0GT-Sアイサイトは、レガシィツーリングワゴンに比べて重心が低く、前述のようにボディ剛性も向上させた。高い動力性能に見合った走行安定性を備え、エンジンフィーリングも改善されたから選ぶ価値を高めている。
一方、レガシィツーリングワゴンは、2.5リッターモデルであれば今でも選ぶ余地がある。低い回転域から加速する時の反応は、ターボを装着しない2.5リッターのノーマルエンジンとあって自然な印象。後席の居住性も優れ、リラックスして運転したいユーザーにピッタリだ。
今ならディーラーにレヴォーグが試乗車も用意されているから、運転感覚や居住性を確認した上で判断したい。「最後のレガシィツーリングワゴン」を選ぶ価値も十分にあると思う。


































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