
今、人気のSUV「ホンダ ヴェゼル」「スバル XV」2台を徹底比較!
SUVは、セダンやミニバンほどボディタイプがパターン化されていない。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)に余裕を持たせ、悪路の走破を容易にした点は大半の車種に共通するが、最近は2WDモデルも増えている。クロスカントリー4WDと呼ばれた時代に比べると「クロスオーバー」と呼ばれるシティ派SUVが増えるなど、SUVにおけるオフロード指向は弱まっている。
もっとも、SUVの「自由型」は今に始まった話ではない。
1980年代に販売されたアメリカンモータース(後にクライスラーが吸収)の「イーグル」は、最低地上高を高めた4WDのSUVだったが、ボディタイプはセダン、ワゴン、クーペ、コンバーチブルと豊富にそろえた。要は「何でもアリ」のジャンルだ。
だから一般的にはミニバンに区分される三菱「デリカ D:5」も、見方によってはSUVと呼べるだろう。
最近になってSUVが注目を集めている背景には「趣味性が感じられるクルマが減った」こともあると思われる。
「軽自動車」が新車販売されるクルマの約40%を占め「コンパクトカー」の比率も高まったが、すべてのユーザーが実用重視の車種を求めるワケではない。にもかかわらずクーペは車種数が激減し、ワゴンではレヴォーグが人気を得ているが、ほかの車種はアテンザを除くと設計が古い。選択肢もクーペ並に少ない。クルマに趣味性を求めると、必然的にSUVを選ばざるを得ない現実があるのだ。
SUVの人気にダウンサイジングの市場動向も加わり、売れ行きを伸ばしたのが「ホンダ ヴェゼル」と「スバル XV」の2台だ。今回はこの2車種を比べたい。
「ホンダ ヴェゼル」vs「スバル XV」
ヴェゼルは、「ホンダ フィット」とプラットフォームを共通化したコンパクトなSUVだが、ショックアブソーバーは「ホンダ オデッセイ」と基本的に同じタイプを使う。フィットとは異なる部分も多く、全長は4,295mmに抑えたが全幅は1,770mmとワイドだ。エンジンは1.5リッター直列4気筒で、ハイブリッドも設定されている。
後者のメカニズムはフィットに準じるが、エンジンはアトキンソンサイクルではなく直噴式。駆動方式は「2WD」と「4WD」を選択できるが、ノーマルエンジンの4WDはベーシックなGグレードに限られる。積雪地域向けに用意された。
一方、XVは「インプレッサスポーツ」をベースに開発されており、最低地上高が200mmまで高められている。「レガシィツーリングワゴン」をベースにした「アウトバック」のような造り方である。
そのため5ドアハッチバックの発展型ではあるが、フェンダーの形状を工夫したりアンダーガード風のパーツを装着することでSUVらしさを表現している。
エンジンは2リッター4気筒水平対向エンジンを搭載しており、ヴェゼルと同様にハイブリッドが選択可能だ。駆動方式はスバルらしく「AWD(4WD)」のみで、2WDの設定は存在しない。

ホンダ ヴェゼル vs スバル XV エクステリア対決
さっそく、「ホンダ ヴェゼル」と「スバル XV」の外観とボディサイズを比較してみよう。全長は「XV」が155mm長く、全幅もわずか10mmではあるが「XV」のほうが幅広い。逆に、全高は「ヴェゼル」が55mm高い。ホイールベースは、全長の長い「XV」が30mm上まわる。
このボディ寸法の比率が外観の見栄えにも影響を与え、ヴェゼルは背の高さが強調されてSUVらしさを際立たせている。
実用面では、XVが全高を1,550mmに抑えており、立体駐車場の利用性を高めている。XV以外の車種で全高を1,550mmに設定したのは、「日産 ジューク」のアーバンセレクションだけである。そのほかのSUVは、すべて全高が1,550mmを超えており立体駐車場を利用しにくい。
取りまわし性はどうだろうか。前方視界は両車ともに互角だが、斜め後方と真後ろの視界はXVが少し勝る。その代わりにヴェゼルはボディが少し短い。最小回転半径は両車ともに5.3mで等しい。
ホンダ ヴェゼル vs スバル XV 居住空間対決
次に、居住空間を比べてみよう。
インパネの質感は「ヴェゼル」も満足できる仕上がりだが、「XV」の方がメッキパーツなどの使い方は巧みだ。インパネの中央部分を少しドライバーの方に向けるなど、デザインは「ヴェゼル」が凝っている印象を受ける。メーターの視認性やスイッチの操作性は両車ともに満足できるが、XVは配置がオーソドックスな代わりにエアコンなどの操作性は少し勝っている。
フロントシートは、ヴェゼルとXVで着座姿勢がかなり異なる。背が高いヴェゼルでは、室内高もXVに比べて60mmの余裕があり床と座面の間隔を離している。高い位置に座れば、その分だけスライド位置が前進して車内のスペースを有効に使えるからだ。
対するXVの運転姿勢は、インプレッサスポーツと同じ。外観の見栄えはSUVでも、内装の造りは5ドアハッチバックで、ヴェゼルに比べると手足を伸ばして運転する姿勢になる。
フロントシートの座り心地は両車ともに快適。バックレストは腰を包み込むような形状で、肩まわりのサポート性も良い。座面の造りはヴェゼルが少し硬めでXVは柔軟だが、座り心地に優劣はない。
リアシートもフロントシートと同様、ヴェゼルは着座位置が高めだ。XVは低めで腰が少し落ち込む。リアシートの膝先空間は、身長170cmの大人4名が乗車した状態で、ヴェゼルが握りコブシ2つ半、XVは2つ少々になる。両車ともに大差はないが、ヴェゼルが少し広い。前述の優れた空間効率が奏功し、ホイールベースは短いのに足元空間は上まわる。
注意したいのはXVの場合、運転席に電動調節機能が装着されると、リアシートに座った同乗者の足が運転席の下側に収まりにくいことだ。アイサイト装着車は電動式だから、右側のリアシートは足元空間が少し狭まる。試乗車で確認したいが、4名乗車を妨げるほどではない。
荷室の使い勝手は、ヴェゼルの圧勝だろう。フィットのプラットフォームを使ったので、燃料タンクをフロントシートの下に設置する。そのために荷室の床が低く、リアシートは床面へ落とし込むように小さく畳むことが可能だ。容量の大きなボックス状の空間に変更できるから、自転車などを積みやすい。さらにリアシートの座面を持ち上げれば、車内の中央に背の高い空間を確保できる。

ホンダ ヴェゼル vs スバル XV 走行性能対決
次は走行性能を比べよう。両車ともノーマルエンジンとハイブリッドを設けるが、排気量はヴェゼルが「1.5リッター」でXVは「2リッター」。最大トルクには4kg-m以上の差があり、ヴェゼルでも力不足はないが、加速力が勝るのはXVだ。
両車の動力性能は、ノーマルエンジンとハイブリッドでも差が生じる。
ヴェゼルハイブリッドには、駆動用電池にリチウムイオンが採用されている。駆動はエンジン主体だがモーターの力も相応に強く、その動力性能はXVに近い。エンジンは1.5リッターだが、モーターを加えた性能としては1.8~2リッターほどのクルマと肩を並べるような力強さを受ける。
ヴェゼルではノーマルエンジンとハイブリッドで搭載するトランスミッションも異なっており、ノーマルエンジンは「CVT」だが、ハイブリッドは2組のクラッチを用いた「7速AT」となる。「7速AT」ではCVTとは異なり、機敏でスポーティな運転を楽しめる。
ホンダ ヴェゼル vs スバル XV 燃費性能対決
燃費性能については、XVはノーマルエンジン車が「15.8km/L」、XVハイブリッドは「20km/L」。
対するヴェゼルの場合はノーマルエンジン車が「20.6km/L」、ハイブリッドが「26km/L」(2WD・Xの場合)。そして4WDになると、ノーマルエンジン車が「19km/L」、ハイブリッドが「23.2km/L」へと下がる。
燃費については、ヴェゼル、XVのいづれもハイブリッドとはいえ走りのバランスやスポーティな運転感覚を重視している。
走行安定性は、低重心でホイールベースの長いXVが勝っている。最低地上高が高まるものの、インプレッサスポーツに近い運転感覚だ。
ただし、運転の楽しさは互角だろう。ヴェゼルは高重心に伴う挙動の変化を穏やかに進行させ、「操っている感覚」を強めているからだ。ボディの傾き方は小さくないが、そこが楽しさを盛り上げた面もある。
乗り心地は両車ともに硬めの印象。街中では細かなデコボコを拾いやすいが、重厚感も伴って速度が高まると快適になる。
ヴェゼルの場合は、好みの範囲ではあるが、16インチよりも17インチタイヤの方が引き締まり感が伴って印象が良い。操舵に対する反応も少し機敏で、ヴェゼルのスポーティ感覚が明確になる。
XVのタイヤはすべて17インチ。ノーマルエンジン車は硬さを意識させるが、ハイブリッドは少し重厚感が増す。

ホンダ ヴェゼル vs スバル XV 装備対決
装備については当然ながらグレードによって異なるが、「XV」は今のスバルの代名詞とも呼べる「アイサイト」を必ず装着したい。
そうなると選ぶべきグレードは最上級の「2.0i-Lアイサイト」となり、運転席と助手席の電動調節機能、ディスチャージヘッドランプ、17インチアルミホイールなどが標準装着される。車両価格はノーマルエンジン車が「255万9,600円」、ハイブリッドが「286万2,000円」だ(消費税はいずれも8%)。
この「XV2.0i-Lアイサイト」に相当するグレードをヴェゼルからピックアップすると、ヴェゼルのノーマルエンジンは2WDの「S」グレードで車両価格は「218万円」。ヴェゼルのノーマルエンジンは前述のように2WDを中心としたラインナップとなっており、4WDはベーシックな「G」のみだから、4WDを積極的に選びにくい。
ヴェゼルハイブリッドは、4WDの「X・Lパッケージ」で275万円(消費税はいずれも8%)。ヴェゼルの両グレードともに、時速30km以下で作動する自動ブレーキを含んだ衝突回避の支援機能、サイド&カーテンエアバッグ、ルーフレールなどを装着する。
このグレード比較だと、装備はヴェゼルが若干充実して価格も安いが、排気量に500ccの差があることを考えればお買い得度は同等になる。
注意したいのは衝突回避の支援機能だ。XVのアイサイトは幅広い速度域をカバーしているが、ヴェゼルは低速域のみ。アイサイトであれば車間距離を自動制御するクルーズコントロールの機能も備わり、機能にはかなりの差が生じる。
こういった点も踏まえて両車の優劣を判断すると、居住性はヴェゼルが勝る。荷室の広さと使い勝手についてはヴェゼルが“圧勝”だ。逆に、動力性能と走行安定性は「XV」が優れている。そして、運転する楽しさと乗り心地は同等で、安全装備では「XV」がアイサイトによって差を付けている。
ホンダ ヴェゼル vs スバル XV 対決 総括
総合的な評価は互角だが、ヴェゼルは背の高いボディによって空間効率が優れ、居住空間や荷室は、フィットの拡大版、あるいは上級版といった造り方だ。全般的に実用性が高い。
対するXVは立体駐車場の利用性が優れ、走行性能も高く、機能は5ドアハッチバックに近い。アイサイトの採用も含めて、ヴェゼルに比べると、実用性よりも走行性能を重視した性格になる。
以上のような違いを踏まえ、試乗チェックも行って選び分けると良いだろう。
なお、ヴェゼルはハイブリッド車がリコールを受けた影響もあり、注文してから納車されるまでにノーマルエンジン、ハイブリッドともに約6ヶ月を要する。XVはノーマルエンジンが約2ヶ月、ハイブリッドは2.5ヶ月に収まる。
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