ダイハツ ムーヴキャンバス vs ホンダ N-BOX どっちが買い!?徹底比較

ダイハツ ムーヴキャンバス vs ホンダ N-BOX どっちが買い!?徹底比較
現在、日本の自動車メーカーは世界生産台数の80%以上を海外で販売する。日本国内の市場は冷遇され、大半の車種が海外を重視して作られるようになった。その結果、日本専売の軽自動車が人気を高めた。
軽自動車は2014年に乱売した影響を受け、最近こそ販売台数の対前年比は下がったが、それでも新車として売られるクルマの約34%は軽自動車が占めている。
ダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOX
軽自動車は基本的に日本のユーザーを見据えて開発されるから、その比率が増えるのは当然だ。この日本人に寄り沿う軽自動車のあり方を端的に示したのが、2016年9月に発売されたダイハツ ムーヴキャンバスだろう。
最近は両親と娘が同居する世帯が増えており、ムーヴキャンバスはそこに焦点を当てた。日常的な買い物では母親、週末には娘が使うことを想定して開発されている。そこでスライドドアを備えた背の高い軽自動車でありながら、全高はダイハツ タントよりも95mm低く、ムダを抑えて外観はオシャレに仕上げた。若い女性が使うからボディカラーも豊富だ。
ムーヴキャンバスを迎え撃つのはホンダ N-BOX。
軽自動車の最多販売車種で(N-BOXスラッシュと同プラスを含む)、2016年上半期(4~9月)の販売累計はトヨタ プリウスに次いで国内2位だ。発売から5年近くを経過しながら人気は根強い。そこで、今回はムーヴキャンバスとN-BOXを比べてみたい。

ボディスタイル・サイズ・視界・取りまわし性比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバス
ホンダ N-BOXダイハツ ムーヴキャンバス
ボディサイズはムーヴキャンバス、N-BOXともに全長が3,395mm、全幅は1,475mmで等しい。軽自動車だから規格枠ギリギリの寸法となる。ただし全高は異なり、ムーヴキャンバスはスライドドアを装着した現行の軽自動車では最も低い1,655mmだ。N-BOXは125mm高い1,780mmになる。
外観は、ムーヴキャンバスが背の高い軽自動車では珍しくフロントマスクなどを丸みのある形状に仕上げた。リヤゲートの上側も少し寝かせて柔和な印象だ。N-BOXは直線基調でミニバン的な雰囲気を感じさせる。
サイドウィンドウの下端は両車ともに低く、右側のウィンドウを開いて後ろを振り返ると後輪が視野に入る。側方視界も優れており、駐車時には路上の白線に合わせやすい。ボンネットはほとんど見えないが、手前は視野に入るから車幅が分かりやすい。
このようにデザインの手法は違っても機能は似ているが、N-BOXはボディ後部のピラー(柱)が若干太く、ムーヴキャンバスは後方視界が勝る。最小回転半径もN-BOXは2WDが4.5m、4WDは4.7mだが、ムーヴキャンバスなら4.4mに収まって小回りの利きが良い。
勝者:ムーヴキャンバス
ダイハツ ムーヴキャンバスダイハツ ムーヴキャンバスダイハツ ムーヴキャンバスダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOX
ホンダ N-BOXホンダ N-BOXホンダ N-BOXホンダ N-BOXホンダ N-BOX

内装のデザイン・質感・操作性・視認性比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOX
インパネなど内装の質感はムーヴキャンバス、N-BOXともに互角だ。
メーターはムーヴキャンバスがインパネの最上部に備わり、視線が若干左側へ寄るものの目の焦点移動も少なく見やすい。だがインパネの上端位置が少し高く、開放感についてはN-BOXが勝る。
ATレバーは両車ともにインパネの下側に備わるが、N-BOXはエアコンのスイッチが比較的高い位置に装着されて操作性を向上させた。実力は互角だが、ムーヴキャンバスはデザイン性を重視する。生活ツールとしての実用性はN-BOXが僅かに勝る。
勝者:N-BOX

前後席の居住性比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバスダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOXホンダ N-BOX
前席は両車ともサイズに余裕を持たせており、座り心地はおおむね快適だ。その上で比べると、ムーヴキャンバスは座面が少し柔軟で背もたれは腰を包む形状に仕上げた。頭上空間はN-BOXに余裕があるが、ムーヴキャンバスもタップリしていて実用面の差はない。
後席の座り心地はN-BOXが快適。ムーヴキャンバスは床と座面の間隔が不足して足を投げ出す姿勢になりやすく、座面の柔軟性も足りない。着座位置を20mmほど高めて、体がもう少しシートに沈む設定にすると快適性が高まる。
前後席に座る乗員同士のヒップポイント間隔は、後席のスライド位置を後端に寄せると、ムーヴキャンバスが1050mm、N-BOXは1150mmだ。身長170cmの大人4名が乗車した状態で、後席に座る同乗者の膝先空間はムーヴキャンバスが握りコブシ3つ半、N-BOXは4つ以上になる。
頭上の余裕はムーヴキャンバスが握りコブシ1つ分、N-BOXは握りコブシ2つ以上だ。
このように後席はN-BOXが圧倒的に広いが、実用的にはムーヴキャンバスでも十分と感じる。ただし前述のように後席の着座姿勢と座り心地に不満があるので、居住性はN-BOXが快適だ。
勝者:N-BOX

乗降性比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

前席は両車ともドアの開口部を十分に確保しており、乗降性の差はほとんどない。
違いが生じるのは後席だ。スライドドアの開口幅はムーヴキャンバスが595mm、N-BOXは640mmと広い。またムーヴキャンバスは前述のように後席の床と座面の間隔が不足するから、着座する時には腰の移動量が多くなる。
後席の乗り降りは、N-BOXの方がスムーズに行える。
勝者:N-BOX

荷室比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOX
荷室はムーヴキャンバスも広いが、N-BOXは容量がさらに大きい。
理由は2つある。まずN-BOXは天井が高く、室内高の数値も115mm上まわる。背丈の違いが荷室容量の差に結び付いた。
2つ目の理由は後席のシートアレンジだ。N-BOXは燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席の背もたれを前に倒して床面へ落とし込むように小さく畳める。床が平らな大容量の荷室になり、前輪駆動の軽乗用車では最大のスペースだ。
一方、ムーヴキャンバスは、後席の下に引き出し式の収納設備を装着したから、背もたれを前に倒しても座面は下降しない。N-BOXに比べて荷室の床が高く、後席を倒しても広げた荷室に傾斜ができる。ダイハツではタントやウェイクがあるので、ムーヴキャンバスは荷室には重点を置いていない。
なお、前述の後席下側の引き出しは容量は小さいものの、引き出した状態で中敷きを持ち上げると買い物袋などを置きやすい。荷物を座席の上に置くと倒れやすいが、持ち上げた中敷きの中も収めると安定する。
勝者:N-BOX
ダイハツ ムーヴキャンバス vs ホンダ N-BOX どっちが買い!?徹底比較

動力性能比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ホンダ N-BOXダイハツ ムーヴキャンバス
ムーヴキャンバスはターボを用意しないので、自然吸気のノーマルエンジン同士で比べてみよう。
車両重量は両車とも900kgを上まわり、660ccのノーマルエンジンでは動力性能が足りない。満足できるのは平坦な市街地だけだ。
峠道の多い地域やバイパスを頻繁に使うユーザーにはやはりターボが必要であり、ムーヴキャンバスもターボに対応すべきだろう。
しかも、ムーヴキャンバスのエンジンは高回転指向。アクセルペダルの踏み込み方に対してスロットルが早期に大きく開く設定だが、動力性能が高まるわけではない。力不足を感じてアクセルペダルをさらに踏み込むと、パワーが頭打ちになる。
加速力は若干ではあるがN-BOXが勝る印象だ。
勝者:N-BOX

走行安定性比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOX
軽自動車は全幅が1475mmと狭い。ムーヴキャンバスでも全高は全幅の112%に達する。ボディの縦横比はセレナやヴェルファイア以上に縦長だ。
このボディ形状では走行安定性の確保が難しいから、背の高い軽自動車は操舵感が鈍い。曲がりにくくすることで、相対的に後輪の接地性を高めて安定性を確保する。
ムーヴキャンバスにも同様の傾向はあるが、背の高い軽自動車の中では車両の向きを変えやすい。曲がることを簡単に諦めない。走行状態によってはボディの傾き方が拡大するが、挙動の変化が穏やかに進むから、危険回避時でも後輪の接地性がギリギリの水準で保たれる。
ちなみにダイハツは、2014年12月に登場した現行ムーヴで足まわりを大幅に改良。この「Dサスペンション」をムーヴキャンバスも使う。
一方、N-BOXは全高が1780mmに達することもあって操舵感は鈍い。後輪の接地性に不安はないが、峠道などでは曲がりにくく感じる。
勝者:ムーヴキャンバス

乗り心地比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ホンダ N-BOX
軽自動車はコストを抑える必要があり、高重心のボディでもあるから、乗り心地を上質に仕上げるのは難しい。両車ともに路面のデコボコを伝えやすい。
その上で違いをいえば、ムーヴキャンバスは少しコツコツした印象が強い。N-BOXは若干マイルドだ。
勝者:N-BOX

安全&快適装備比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバス
ムーヴキャンバスは、スマートアシストIIを幅広いグレードに装着する。赤外線レーザー/単眼カメラ/音波センサーを備え、車両については時速50kmを上限に緊急自動ブレーキを作動させる。
歩行者は対象外だが、衝突の危険が生じた時の警報は時速50km以下で行われる。車両の警報は時速100kmが上限だ。
また音波センサーは後方を対象とし、後退時の誤操作に伴う急発進事故を防ぐ。
スマートアシストII装着車の価格上昇は6万4,800円だ。サイドエアバッグは、メイクアップSAIIと呼ばれる装飾を多く備えたグレードだけに装着される。サイドエアバッグの価格を割り出すと約3万円だが、安全装備だから単品で装着可能にすべきだろう。スマートアシストIIに含めても良い。
一方、N-BOXは、あんしんパッケージをすべてのグレードにオプション設定した。
緊急自動ブレーキは赤外線レーザー方式で対象は車両のみ。警報を含めて歩行者は検知しない。作動速度の上限も時速30kmと低い。その代わりサイド&カーテンエアバッグとセットになって価格は6万1560円だ。
ムーヴキャンバスはサイドエアバッグの設定に不満を伴うが、安全装備の内容はN-BOXよりも進んでいる。
勝者:ムーヴキャンバス

燃費性能とエコカー減税比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバス
2WD仕様のJC08モード燃費は、ムーヴキャンバスが28.6km/L。N-BOXは自然吸気エンジンが25.6km/Lになる。
2WDのエコカー減税は、ムーヴキャンバスが購入時に納める自動車取得税と同重量税がともに免税。N-BOXは60・50%の減税だ。
勝者:ムーヴキャンバス

グレード構成・価格比較/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ムーヴキャンバスで買い得なグレードは、スマートアシストII、両側スライドドアの電動機能、キーフリーシステムなどを備えたXリミテッドSAII(142万5,600円)になる。
一方、ほぼ同じ装備が備わるN-BOX・G・Lパッケージ(137万円)に、あんしんパッケージを加えると143万1,560円だ。
それでも右側スライドドアの電動機能、後席のスライド機能はいずれもオプションで備わらない。これらを付けるとディスチャージヘッドランプもセットで加わり、総額は158万2,760円に高まる。
N-BOXの価格体系はタントに近いので、ムーヴキャンバスが少し安い。
勝者:ムーヴキャンバス

総合評価・どっちが買い!?/ムーヴキャンバス vs N-BOX

ダイハツ ムーヴキャンバスホンダ N-BOX
走行性能や燃費を含めて、機能を幅広く高めたのはムーヴキャンバスだ。外観も洗練されて、男性から見ても魅力を感じる。その意味ではセダン感覚の軽自動車だが、後席の座り心地が良くないのは困る。
またムーヴやタントと違ってターボが用意されず、長距離の移動には使いにくい。
一方、N-BOXは車内の広さと積載性に重点を置く。後席の座り心地もムーヴキャンバスに比べて快適だ。そしてN-BOXの車内を見ていると、実用的にこれほどの広さを必要としなくても購買意欲が沸いてくる。「小さな軽自動車なのにここまで広い」という一種のサプライズが魅力だ。
価格を含めて総合的に買い得なのはムーヴキャンバスだが「どちらが凄いか」という見方をすればN-BOXが勝る。
勝者:ムーヴキャンバス

カテゴリー別勝者一覧

ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較:ムーヴキャンバス
内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較:N-BOX
前後席の居住性比較:N-BOX
乗降性比較:N-BOX
荷室比較:N-BOX
動力性能比較:N-BOX
走行安定性比較:ムーヴキャンバス
乗り心地比較:N-BOX
安全&快適装備比較:ムーヴキャンバス
燃費性能とエコカー減税比較:ムーヴキャンバス
グレード構成と価格の割安感比較:ムーヴキャンバス
総合評価:ムーヴキャンバス

コメント