
新型「NSX」のライバルとなる国産スポーツカーといえば、やっぱり「日産 GT-R」!
いよいよ日本国内でも正式に発表された、ホンダ 新型「NSX」。
そのライバルは世界の自動車メーカーに多数存在しているが、現時点の国産車の中で選ぶとなると、2007年に登場し短い期間で世界のスーパースポーツの仲間入りを果たした「日産 GT-R(R35)」だけだろう。
レクサスにも2016年デトロイトショー/ジュネーブショーでフラッグシップクーペ「LC500/LC500h」が発表されたが、こちらはラグジュアリースポーツであってNSXとはジャンルが異なる。
ちなみに、初代NSXは第2期F1参戦を期に「世界に通用するホンダの顔を持ちたい」、R32GT-Rは「16年ぶりのGT-R復活」、「グループAで勝つため」をコンセプトに開発された。どちらも当時の最新テクノロジーを惜しみなく投入して開発され、ニュルで徹底的に鍛え上げられたモデルである。2台の走りにおけるパフォーマンスの高さには、海外メーカーも驚いたそうだ。
そして2016年、R35GT-Rと新型NSXは今も各メーカーのトップモデルであることと、色々な意味で“世界トップレベル”のパフォーマンスを備えているのが共通項だが、クルマとしての成り立ちは全く異なるから面白い。

スカイラインから独立し、グローバルモデルとして世界で活躍する「GT-R」
2007年に登場した現行の「GT-R」はスカイラインシリーズから独立し、日産のトップモデルになると同時に世界販売されるグローバルモデルになった。
車両コンセプトも「レースカーのホモロゲモデル」から「マルチパフォーマンススーパーカー」と、これまでのツーリングカーのカテゴリーからスーパースポーツジャンルへ参入したのが最大のトピックだろう。
「プレミアム・ミドシップ・パッケージ」「独立型トランスアクスル4WD」「VR38DETTエンジン」「GR6型デュアルクラッチトランスミッション」ニュルブルクリンクで徹底的に鍛えられ、強靭で精度の高い「ボディ&サスペンション」など、部品一つ一つに、ミスターGT-Rと呼ばれた元開発責任者(現・華創車電社 車両開発担当 副社長 兼 華創日本株式会社 代表取締役COO)の水野和敏氏の理路整然としたアイデアが凝縮されている。
生産方法も他のスーパースポーツとは真逆で、専用ファクトリーで職人による組み立てではなく、日産自動車の栃木工場の量産ラインで他のモデルと同じように生産が行なわれ、量産技術の精度の高さ、そして“ニッポンの物作り”の強さを高くアピールしている。
また、「最新のGT-Rは最良のGT-R」と毎年手を止めることのない進化・熟成も話題となった。
それは水野氏が日産を退職した後も継続され、田村宏志氏がCPSとなった2014/2015モデルはGT(グランツーリスモとしての洗練された走り)とR(レーシングテクノロジーによる速さ)の両立も話題となった。
ニュルにおける量産市販車最速記録を持つGT-R
2016モデルが登場しないことからフルモデルチェンジも噂されたが、ニューヨークショー2016でお披露目された2017モデルは、更なるパフォーマンスアップ伴った機能性アップのためのエクステリア変更、スーパースポーツに見合うインテリアへの刷新、遮音性アップや音/振動の低減など、現行GT-R史上最大の変更を実施。「R35GT-Rの伸び代はまだまだある」と言うわけだ。
車両の総合性能がタイムに反映されやすい、ドイツのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)でのタイムアタックも進化・熟成度を確認するために毎年行なっており、当初はポルシェから異論があったが7分38秒54(2007モデル)から7分18秒6(2013モデル)、更にスペシャルなNISMOモデル(Nアタックパッケージ:2014モデル)は7分8秒679と量産市販車最速記録を持つ。
2017モデルにもNISMOが設定されているため、更なるタイム更新もあるかも!?このようにGT-Rは「ニッポンの物作り」を集結させたスーパースポーツである。

アメリカの“匠”と“最新の生産技術”が融合したハイブリッドカー「NSX」
対して新型NSXは日米合同、つまり「オールホンダでの物作り」で勝負しているのが最大の違いだろう。
2012年のデトロイトショーでデザインコンセプトが登場。
ホンダ・伊東考紳社長(当時)は「新型アキュラスーパーカーはアメリカのR&Dチームで開発され、オハイオ工場で生産します」と語り、日本のファンはガッカリしたようだが、実際は車体の開発とクルマ全体のマネージメントはアメリカ中心に、パワートレインやスポーツハイブリッドSH-AWDなどの複雑な駆動トルク関連の開発は日本中心で開発が進められている。
ちなみに、生産はオハイオ州にあるメアリズビル四輪車工場に隣接のNSX専用工場「PMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)」で行なわれる。
PMCのベースとなったのは、初代NSXの生産が行なわれていた日本の高根沢ファクトリー。つまり、アメリカの“匠”と“最新の生産技術”のハイブリッドである。
“走りの楽しさ”をアシストするデバイスも搭載
フロントの左右独立モーターを活用する「スポーツハイブリッドSH-AWD」は、ATTSやSH-AWD(油圧式)で進化させてきたトルクベクタリングの最高陣だが、NSXに最適な制御を採用。
ミドシップスポーツは安定性のために弱アンダーステアが基本だが、前輪のトルクベクタリングでアンダーステアを抑制し、これまでにない安心化とオン・ザ・レール感覚なライントレース性を実現している。
ただ、開発責任者のテッド・クラウス氏は、「コーナリングをアシストするのではなく、“走りの楽しさ”をアシストするデバイス」と語っている。
スーパースポーツのハンドリング、その多くが車両重量と高出力を手なずけるために安定方向のセットアップになることが多いが、新型NSXはハイパフォーマンスと初代NSXのようなピュアでFunなコーナリングマシンを両立しているはずだ。
NSXのネーミングの意味は「New Sportscar Experience」、新型にも「新たな驚き」が盛り込まれているのである。

アメリカで開発・生産される新型NSXだが、初代の思想やDNAはしっかりと受け継いでいる
新型NSXはアメリカ開発・アメリカ生産と言うことで、日本人にとっては複雑な気持ちになるのも解るが、テッド・クラウス氏は初代NSXに感銘を受けてホンダに入社したと言う“アツい男”で、過去に栃木研究所で運動性能を研究していたこともあり、初代NSXの開発責任者・上原繁氏の想いやNSXの名を受け継ぐ責任や重圧も十分理解している。
「新型NSXはシステムもテクノロジーも異なりますが、『ドライバーが中心』『軽さ』『レスポンシブル』と初代NSXの思想&DNAは受け継いでいます。また、インテリアも初代NSXの視界の良さを受け継ぎ、デザインが主張しないように心がけました」と語っている。
ちなみに新型NSXはニュルブルクリンクのタイムは公表していない。
これは開発テスト時にニュルが速度規制(2015年のVLN1での事故が原因)になったことから、正式なタイムアタックを実施していないからだと言うが、要所要所でタイム計測は行なっているそうだ。ホンダ関係者によれば「7分30秒を切るくらいのタイムなのでは?」とのことだ。
ちなみに初代最速となるNSX-R(NA2)は7分56秒を記録しており、それと比較すると伸び代が少ないように思えるが、新型NSXは素のモデルであると言うことを忘れてはいけない。ちなみに初代NSXの素のモデルのタイムは8分16秒だ。
もちろん、今後登場が噂される「走りに特化したモデル(タイプR!?)」は、GT-R NISMOの記録更新はもちろん、同じ電動AWDを採用するポルシェ918の記録(6分57秒)も狙っているのかも!?
2車で決定的に異なるのは、やはり「価格」
ただし、決定的に違うのは車両価格。
GT-Rは初期モデルと比べると値段はアップしているが、996万084円~1170万5040円のプライス。最も高額となるNISMOの価格は1870万円。
それに対して、新型NSXはモノグレードで2370万円と、GT-Rと比べると倍近いプライスだ。値段だけで言ってしまえば、やはりGT-Rの方がパフォーマンスに対してお買い得となる。
だが、それだけで判断するのは無意味であるのがスーパースポーツの世界。
「●●だからGT-R」「▼▼だからNSX」と言う判断をするのは野暮な話。開発陣の想いやパッションに共感、もしくは自分の直感を信じて選んだモデルがベストバイだろう。























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