
小さなボディと高機能を備えた究極の実用車2台を徹底比較
スマートフォンの普及率が1世帯当たり50%に達したという。携帯電話を持たない世帯もあるから、普及率は相当に高い。
私自身は、古い携帯電話(いわゆるガラケー)を修理に出したら、「費用は最低でも1万5000円かかります」と言われた。そこで仕方なくスマートフォンに変えたのだが、今のところ(今後も?)まったく使いこなせていない。それでも小さなボディに高機能を集約した造りは、確かに便利で魅力的だろう。
今では同じことがクルマにも当てはまる。新車として売られるクルマの約40%が軽自動車で、その内の70%以上が、背の高い空間効率の優れた車種になった。
背の高い軽自動車は、ボディとエンジンは小さくても、車内はとても広い。大人4名が乗車して、リアシートに座る乗員の頭上と足元には、タップリした余裕がある。前後と上下方向のスペースは、Lサイズセダンを上まわるほどだ。
リアシートを畳めば自転車を積める車種も多く、収納設備は多彩。「これ1台で何にでも使える」というあたりは、スマートフォンに通じるだろう。
地域によっては軽自動車は日常生活の必須手段だから、税金の安さは重要。値上げは許されないが、ここまで売れ行きが伸びた背景にあるのは、税額よりもスマートフォンに似た「小さなボディと高機能」だ。
いい換えれば「究極の実用車」で、いわゆるブームではないから、もはや廃れない。今後も背の高い軽自動車は売れ続け、やがて駆動力はモーターに代わり、さらに時間を経れば自動運転の時代を迎える。
未来都市では、人を乗せた小さな箱が、ゆっくりと網の目のように張り巡らされた専用の軌道を走っているだろう。走行するクルマの直前に人が飛び出すような、避けられない事故があってはならないから専用軌道なのだ。
とまあ話が綿菓子のように大きく膨らんだが、今の背の高い軽自動車は、未来のクルマに近いところにいる。好調な売れ行きも、未来に通じる流れを示唆したものかも知れない。だとすれば背の高い軽自動車は、クルマの進化の過程にいる。
三菱 eKスペース vs ダイハツ タント
さて、このような軽自動車の最先端を走るのが、全高を1700mm~1800mmに設定してスライドドアを備えたタイプだ。
2003年に登場した初代ダイハツ「タント」が先駆けで、2代目になってスライドドアを装着した。
今ではスズキ「パレット」が「スペーシア」に変わり、ホンダは「N-BOX」を設定して人気を高めた。
そしてこのタイプの最新型が、三菱「eKスペース」&日産「デイズルークス」になる。
ここでは三菱 eKスペースと、老舗のダイハツ タントを比べよう。両タイプともエアロパーツを備えたカスタムも設定するが、価格が割安な標準ボディを取り上げたい。

三菱 eKスペース vs ダイハツ タント エクステリア・インテリア対決
まずはボディサイズだが、軽自動車の場合、全長と全幅は全車が同じ数値になる。規格枠いっぱいの全長3395mm、全幅1475mmだ。
全高もこの2車種はほぼ同じ。eKスペースは1775mm、タントは1750mmだから25mmしか違わない。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、eKスペースが2430mm、タントは25mm長い2455mm。いずれも同等の数値になる。
外観も良く似ている。車内の広さがセールスポイントだから、ドアやピラー(柱)の角度を立てて、フロントウインドーは前寄りに位置する。ボンネットは短く、商用車のワンボックス形状に近い。
その上で比べると、eKスペースは後から登場した車種とあって、ドアパネル付近の形状は少し凝っている。タントは水平基調でシンプルなデザイン。この点で優劣はない。
内装はどうだろう。インパネを見ると、eKスペースが主力グレードにタッチパネル式のオートエアコンを採用して、質感を高めた。タントは従来型のスイッチだが、手探りの操作がしやすい。eKスペースも操作パネルを上側に向けたが、タッチパネルだと視線を下げることになる。
メーターはeKスペースはハンドルの奥側に装着され、タントはインパネ中央の高い奥まった位置に備える。タントは視線と目の焦点移動が少ないが、インパネの上端が高く、小柄なドライバーは前方が少し見にくい場合がある。スイッチの操作性とメーターの視認性は一長一短だろう。
フロントシートは、両車ともにサイズを十分に確保して、座り心地が良い。座面は適度に柔軟で、体が少し沈んだ部分でしっかりと支える。
注意したいのは運転席の着座位置を上下に調節するシートリフターだ。タントはシート全体が上下するが、eKスペースは座面のみになる。eKスペースでは下げた状態では背もたれと座面の間に隙間が生じて、少し違和感が伴う。
リアシートはeKスペースが快適だ。座面をフロントシートよりも30mm長く伸ばし、膝の裏側までしっかりとサポートする。座り心地は、フロントシートに比べると柔軟性に欠けるが、ボリューム不足はない。
タントのリアシートは、先代型に比べれば座り心地を向上させたが、座面の柔軟性はいま一歩。座面の角度も水平に近く、腰の収まりがあまり良くない。
三菱 eKスペース vs ダイハツ タント 室内空間・装備対決
足元空間はタントが広い。身長170cmの大人4名が乗車した状態で、リアシートに座る同乗者の膝先空間は、eKスペースが握りコブシ3つ少々、タントは4つ分に達するからだ。もっとも、Lサイズセダンでも握りコブシ2つ半くらいだから、eKスペースも3つ少々を得ていれば十分に広い。なのでリアシートの居住性は、座り心地の優れたeKスペースが勝る。
リアシートのアレンジは、両車ともほぼ同じ。前後にスライドさせたり、床面へ落とし込むように小さく畳める。それぞれ左右独立式だから、乗員の数や荷物の量に応じた調節もしやすい。
路面から荷室床面までの高さは、両車ともに約600mm。開口幅もeKスペースが1090mm、タントが1080mmだから大差はない。ただし荷室開口部の上下寸法は、eKスペースが1080mmでタントは1045mm。背が高い分だけeKスペースに余裕が生じた。それでも両車ともリアシートを畳めば、自転車などを積める。
荷室の使い勝手で注意したいのは、リアシートを畳んだ時の運転姿勢だ。eKスペースはリアシートを畳むとフロント側のスライド量が制限され、長身のドライバーは、ハンドルやペダルとの間隔を十分に確保できない。なのでeKスペースでは、リアシートを畳んだ状態で運転席に座って確かめる必要がある。
収納設備は両車とも豊富にそろえたが、タントはメーターをインパネの上部に装着したので、ハンドルの奥側にフタの付いたボックスが備わる。eKスペースは、助手席のアンダーボックスをリアシートの側からも開けるようにした。リア側にチャイルドシートを装着して、子供の靴などをアンダーボックスに入れる時には便利だ。それぞれに特徴がある。
空調設備はeKスペースが工夫を凝らした。主力グレードの天井にはリアサーキュレーター(リアシート用の吹き出し口)が備わり、風量を3段階で調節できる。エアコンのユニットはフロント側と共用だが、広い車内に新鮮な空気を偏りなく送ることが可能だ。両車ともリアシートのサイドウインドーにはサンシェードを装着した。
このほか、eKスペースは助手席の背面に折り畳み式のテーブルを備える。タントでは助手席を前に倒した時に、背面全体がテーブルとして機能する。
乗降性はタントの圧勝。左側のスライドドアにピラー(柱)を埋め込み、前後ともに開くと開口幅が1490mmに達する。助手席の上部には乗降グリップも備わり、お年寄りがリアシートに乗り込む時も便利だ。
フロントドアを閉めた時のリア側の開口幅は、eKスペースが580mm、タントは左側が605mmで右側は590mm。リア側の開口幅もタントが広い。
装備は安全面で差が付く。タントでは赤外線レーザーを使った衝突回避の支援機能を、横滑り防止装置とセットで選べるからだ。作動する範囲は時速4~30kmの範囲。ミリ波レーダーやカメラ方式に比べると、作動する速度域が低く限定的だが、市街地走行で衝突の回避を支援するメリットは大きい。
eKスペースも最廉価のEグレードを除くと横滑り防止装置を備え、タントがオプション設定とするサイドエアバッグを標準装着した。さらにリアビューモニター付きのルームミラーも備わる。上級のマルチアラウンドモニターは、eKスペースカスタムにオプション設定され、標準ボディのeKスペースでは選べない。

三菱 eKスペース vs ダイハツ タント 走行性能・価格対決
次は走行性能を比べよう。今回は標準ボディ同士だからノーマルエンジンを取り上げたい。タントの標準ボディではターボも選べるが、eKスペースはノーマルエンジンのみだ。
動力性能は両車とも互角。実用回転域の加速力を左右する最大トルクは、eKスペースが6.0kgf-m(5000回転)、タントは6.1kgf-m(5200回転)。売れ筋グレードの車両重量は両車とも930kgになる。
大差がないとはいえ、車両重量とのバランスを考えると、両車ともに登坂路で力不足を感じる。平坦路を中心に使うなら差し支えないが、峠道などの多い地域ではターボも検討したい。そうなると割安な標準ボディのターボを選べるタントは有利だ。
また、セカンドカーとして所有するユーザーも、ノーマルエンジン車の動力性能に注意したい。併用する小型&普通車と同じ感覚で大きな交差点を右折しようとすれば、発進時の加速力が不足して、対向車と接近する心配があるからだ。平坦路なら速度が上昇すればさほど不満はないが、停止状態から時速25km付近までは、明らかに速度上昇が鈍い。
走行安定性と操舵感は、微妙に指向性が違う。背の高い軽自動車とあって操舵感は両車とも穏やかだが、eKスペースはタントに比べて鈍さを感じにくい。車両の向きが比較的自然に変わり、後輪の接地性も保たれている。
対するタントは直進安定性を重視した。ハンドル操作に対する反応は少し鈍いが、真っ直ぐ走る時の安心感は高い。eKスペースは市街地向き、タントは高速向きという表現もできるだろう。
車両価格は、eKスペースで買い得な「G」が137万7600円、タント「X・SA」が135万円(消費税は両車とも5%)。基本的な装備は同じだが、eKスペースにはサイドエアバッグ、リアビューモニター付きルームミラー、リアサーキュレーターが備わり、タントでは低速域で作動する衝突回避の支援機能、ワイドに開く左側のスライドドアが装着される。
両車ともに価格競争の激しい売れ筋の軽自動車とあって、機能や装備と価格のバランスは拮抗する。
三菱 eKスペース vs ダイハツ タント 総括
以上を総括すると、リアシートの居住性はeKスペースが勝り、乗降性はタント。快適装備はeKスペースで、安全装備はタントという具合だ。eKスペースに低速域で作動する衝突回避の支援機能が用意されると、勝敗でも有利になるだろう。標準ボディのターボ車も欲しい。
それにしても背の高い軽自動車は、いろいろとお伝えすることが多い。以前は使い勝手に終始したが、今は話が安全装備にもおよび、小型車を上まわるほど充実している。アプリケーションの数がパソコンを上まわるスマートフォンという感じだろうか。
オジサン世代としては「クルマはパソコンか!?」「走る楽しさはどこに行った!?」と思うが、未来に向けたクルマの流れなのだから仕方ない。自動運転になればアナログな操作はなく、確かにアプリケーション、つまり車内で快適に過ごすための機能や装備が重要になるだろう。
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/013_o.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)]](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/042_o.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/eKスペースエンブレム](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/010_o.jpg)

![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/エクステリア フロント寄り](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/008_o.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)]](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/039_o.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/フロントエクステリア](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/001_l.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/リアエクステリア](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/003_l.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/エクステリア フロントビュー](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/004_l.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/エクステリア リアビュー](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/005_l.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/サイドエクステリア](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/006_l.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)] エクステリア](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/033_l.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)] エクステリア・リア](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/034_l.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)] エクステリア・フロント正面](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/035_l.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)] エクステリア・リア正面](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/036_l.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)] エクステリア・サイドビュー](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/037_l.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/ドアオープン時](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/007_o.jpg)
















![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/走行イメージ1](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/064_o.jpg)
![三菱「eKスペース G」[2WD/ボディカラー:アンティークゴールドメタリック]/走行イメージ3](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/066_o.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)]走行イメージ2](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/061_o.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)]走行イメージ3](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/062_o.jpg)
![ダイハツ 新型「タント X "SA"」[ボディカラー:ファイアークオーツレッドメタリック(新色)]走行イメージ1](https://a248.e.akamai.net/autoc-one.jp/image/images/1701020/060_o.jpg)
コメント
コメントを投稿