
家族4名で乗車できて買い物などにも使いやすく、高速道路でも走行性能に不満を感じない。このような実用的なクルマをなるべく安く購入し維持費も節約したいのならば「コンパクトカー」を検討すると良いだろう。
コンパクトカーのライバルとして今、軽自動車が大人気なのは皆さんもご存じの通り。車内がコンパクトカー以上に広い車種もあり、多彩な収納設備やシートアレンジにも驚かされる。だが、車両価格も高めだ。ノーマルエンジン車でも120~140万円で、ターボ車になればさらに10万円程度は上乗せされてしまう。軽自動車だからといって低価格とは、一概にいえなくなってしまったのだ。
確かに購入後の税金/保険料/点検費用などは軽自動車が安いが、1年間の維持費を換算するとコンパクトカーとの差額は4~5万円。
複数のクルマを持つ世帯では軽自動車の安さが際立つが、1台だけの所有であれば意外に差が付かないという見方もできる。
走りまで含めた機能のバランスを考えると、コンパクトカーは堅実で優れた車種が多い。
そこで今回、コンパクトカーの代表格ともいえる「ホンダ フィット」と「日産 ノート」のノーマルエンジン車同士を比べたい。
フィットはハイブリッド、ノートもスーパーチャージャー仕様が注目されるが、今回はお買い得なノーマルエンジン車で比べてみよう。
※当記事はスーパーチャージャー無しのノートとフィットの比較ですが、日産 ノートの画像は「DIG-S」スーパーチャージャー仕様を用いております。予めご了承ください。
ホンダ フィット1.3G vs 日産 ノート -エクステリア対決-
ホンダ フィットは1.3リッターエンジンを搭載した「13G・Fパッケージ+あんしんパッケージ」(合計146万571円)、「日産 ノート」は1.2リッターエンジンを積んだ「1.2Xエマージェンシーブレーキパッケージ」(142万7,760円)で比較したい。
安全装備を充実させながら、車両価格は背の高い軽自動車の上級グレードと同程度だ。両車ともに前輪駆動を採用し、ボディスタイルは5ドアハッチバックになる。
全長はフィットが「3,955mm」、ノートは145mm長い「4,100mm」。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)もノートが70mm長く「2,600mm」を確保する。5ナンバー車だから全幅は両車とも1,695mmで等しく、全高も1,525mmと同じ数値だ。立体駐車場の利用性を妨げない範囲で背を高くして、室内空間を広げている。
エクステリアは、フィットのフロントマスクが個性的。ほかのホンダ車にも似ている顔立ちで、新鮮である。日産ノートのフロントマスクは、スッキリした印象に仕上げられた。
両車ともにサイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げている。外観は躍動的だが、斜め後方の視界はどちらもいま一歩。ボンネットもほとんど見えない。ボディが小さいから取りまわし性は良いのだが、後方の視界は確認しておきたい。最小回転半径は両車ともに「4.7m」で小回り性能は優れているなど、外観の大きさと取り回し性についてはフィットとノートで大きな差は無い。
ただし、ノートのアラウンドビューモニター(メーカーオプション)は、視界の死角を補う効果がある。
フロントシートは両車ともにサイズを十分に確保しており、座り心地にボリューム感があって快適だ。座面も柔軟で、バックレストの下側は硬めに仕上げられている。
リアシートは、両車ともに座面の柔軟性はフロントシートに比べて見劣りするがサイズに不足はなく、おおむね快適だ。
フィットは多彩なシートアレンジを可能にしながら、座り心地を先代よりも向上させた。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は、フィットが握りコブシ2つ半。ノートはホイールベースが長いこともあって3つ分を確保する。
フィットは燃料タンクをフロントシートの下に設置したので、リアシートに座る同乗者のツマ先が少し持ち上がるが、ノートであれば違和感はない。頭上空間は、両車ともに握りコブシ1つ分を確保した。リアシートの居住性は、足元空間が広いノートが勝る。
そして、荷室の使い勝手はフィットの圧勝だ。
荷室の床が低めで、燃料タンクをフロントシートの下に搭載したからリアシートを床面へ落とし込むように小さく畳める(一部の安価なグレードを除く)。ボックス状の大容量の荷室に変更できる。
また、リアシートの座面を持ち上げると車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。これらは先代フィットから受け継いだ定番の機能である。
ノートのシートアレンジは、リアシートのバックレストを単純に前に倒すだけにとどまる。

ホンダ フィット1.3G vs 日産 ノート -動力性能対決-
次に、運転感覚を比べたい。
まずは動力性能から。フィット 13G・Fパッケージは1.3リッターエンジンを搭載し、最高出力が100ps(6,000rpm)、最大トルクが12.1kgf-m(5,000rpm)になる。排気量の割には数値が高い。
実際にフィットを運転すると少し高回転指向で、4,400rpm付近から速度の上昇が活発化するが、車両重量が1,020kgと軽く実用回転域でも力不足は感じない。フィットは1.3リッターエンジンで十分に事足りる。
一方、ノートのノーマルエンジンは79ps(6,000rpm)/10.8kgf-m(4,400rpm)。基本的にマーチと同じ設定で、ノートの加速力はフィットよりも大人しい。登坂路では少し力不足を感じる場面もある。
そのためにノートでは、98ps(5,600rpm)/14.5kgf-m(4,400rpm)のスーパーチャージャー装着車を主力に据えたが、このタイプは直噴式を採用したこともあって、燃費性能まで向上する代わりに少し騒がしい。加速時にクラッチを使ってスーパーチャージャーを接続する仕組みだから、微妙なショックが伝わることもある。
ノートのノーマルエンジンはスーパーチャージャー装着車に比べて動力性能が下がるものの、運転感覚は素直で上質だ。しかもスーパーチャージャーを装着した仕様は、装備の違いを補正しても、車両価格が20万円ほど上まわる。試乗して動力性能に不満を感じなければ、割安感まで含めてノーマルエンジンを推奨したい。
ホンダ フィット1.3G vs 日産 ノート -走行安定性・乗り心地対決-
走行安定性は、フィット、ノートともに後輪の接地性が重視された。コーナリング性能はさほど高くないが、安心して使える。
その上で違いを述べると、フィットは軽快な印象でノートは車の動きが穏やかだ。
乗り心地は両車ともにコンパクトカーの平均水準だが、硬めに感じられる。フィットは少し大きな段差を乗り越えた時などに、直接的なショックが伝わりやすい。ノートは路面上の細かなデコボコを拾いやすく、微妙に上下に揺すられる。両車ともに転がり抵抗を抑えた燃費重視の14インチタイヤを装着し、足まわりのコスト低減も図ったから乗り心地が快適とはいえない。
JC08モード燃費は、フィット13G・Fパッケージが「24.6km/L」、ノートXエマージェンシーブレーキパッケージが「22.6km/L」とカタログ上の燃費はフィットが勝る。
ホンダ フィット1.3G vs 日産 ノート -安全装備対決-
装備は両車ともに実用面を充実させたが、自動ブレーキを伴う衝突回避の支援機能では差が生じた。
フィットの「あんしんパッケージ」は赤外線レーザーを使っており、作動する速度域は時速5~30km。障害物を検知できる距離が短いため、低速で走る市街地向けになる。
一方、ノートのエマージェンシーブレーキパッケージはカメラ方式を採用し、時速10~80kmの範囲で作動する。時速60km以下であれば、歩行者を見分けることも可能だ。カメラ方式だから路上の白線を読み取り、車線の逸脱も警報する。アランドビューモニターをオプション装着すれば、移動物の検知機能も備わり、モニターの視界内に歩行者などが入った時にも警報してくれる。
サイド&カーテンエアバッグは、フィットであれば「あんしんパッケージ」に含まれるが、ノートはカーテンエアバッグをX・DIG-S以上にメーカーオプション設定した。ノーマルエンジン搭載車では、カーテンエアバッグを装着できない。
なのでエアバッグの充実度はフィットが上まわるが、衝突を回避する機能はノートが優れている。
ホンダ フィット1.3G vs 日産 ノート -総評-
以上、総合的に評価すると、後席の居住性はノートが少し勝り、荷室の使い勝手とシートアレンジはフィットの圧勝だ。
動力性能もフィットが勝る。走行安定性はフィットが軽快、ノートは穏やかだ。そして安全装備は、衝突回避の支援機能を高い速度域まで達成させたノートが充実する。
フィットは幅広い機能を高めたいわば優等生だが、ノートもマイナーチェンジで衝突回避の支援機能を充実させ、安全装備で選べるクルマとなった。フィットは荷物の積載も含めた「多目的型」、ノートは後席の居住性を高めた「ファミリー型」として選ぶと良いだろう。


























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