トヨタ 新型ハリアー vs マツダ CX-5 どっちが買い!?徹底比較

トヨタ 新型ハリアー vs マツダ CX-5 どっちが買い!?徹底比較

販売ランキングの中堅レベルに入ってきたSUV

トヨタ 新型ハリアー
今の日本で売れ筋なのは、小さくて価格の安いクルマ。軽自動車が新車販売されるクルマの約40%を占め、コンパクトカーも20~25%に達する。ミニバンはもはや多人数乗車や荷物の積載といった目的のあるユーザーしか買わず、売れ行きは下降気味だ。メーカーやディーラーにとって、日本は「儲からない市場」になりつつある。
その中で注目すべきはSUVの売れ行き。マツダ「CX-5」、日産「エクストレイル」、スバル「フォレスター」や「XV」などが、コンパクトカーに混ざって販売ランキングの中堅レベルに入ってきた。人気絶好調とはいえないが、新しい販売動向だろう。
そこで2013年11月13日に発表されたのが、トヨタ 新型ハリアーだ。

国内専売となった新型ハリアー

トヨタ 新型ハリアー
従来型のハリアーは、レクサス「RX」の日本版だった。しかし今ではRXは別の車種として用意される。そこでハリアーは「国内専売」とした。
軽自動車なら国内専売は分かるが、近年のSUVではきわめて珍しい。開発者も「SUVなのに今のところ左ハンドル仕様を開発する予定はなく、何だか不思議な感じです」と言う。もっとも、左ハンドル車を造ろうと考えれば、対応は十分に可能なようだ。
ハリアーの1か月の販売目標は2500台。今のCX-5と同等か若干少なく、堅実な数字といえる。ただし「国内専売」と聞けば、「ソロバン勘定は大丈夫か?」と余計な心配もしたくなる。新型車を開発するには、市場規模が小さいからだ。
マツダ CX-5
そこで改めてハリアーの概要を見ると、トヨタが得意な共通化を巧みに行って開発されたことが分かる。
まず、プラットフォームは生産を終える「ヴァンガード」と共通。床の高さ、インパネやシートの配置などの基本レイアウトも同じだ。サスペンションはフロント側がストラット、リア側がダブルウイッシュボーンの4輪独立式で、これも「ヴァンガード」を踏襲している。
エンジンは直列4気筒の2リッターと、2.5リッターをベースにしたハイブリッドの2種類。2リッターエンジンは「ウィッシュ」などに搭載されるタイプで、動力性能もほぼ同じ。2.5リッターのハイブリッドは「カムリ」に準じるが、リア側にもモーターを装着して4WDを成立させた。この前後のモーターは基本的に「ヴェルファイア」や「エスティマ」と共通。フロントモーターは「カムリ」とも等しい。
以上のように、既存の車種のプラットフォーム、エンジン、ハイブリッドユニットを巧みに使い分けることで、コストの低減を図り、現時点では国内専売のSUVを実現させた。
想定されるライバル車は、Lサイズのボディも含めて考えるとマツダ「CX-5」だろう。ハリアーはハイブリッド、CX-5はクリーンディーゼルターボと特徴あるクルマと比べてみよう。
トヨタ 新型ハリアー vs マツダ CX-5 どっちが買い!?徹底比較

【新型ハリアー vs CX-5 エクステリア&インテリア対決】

トヨタ 新型ハリアーマツダ CX-5
シティ派SUVに位置付けられる両車だが、ハリアーはレクサス「RX」の姉妹車だった従来型と同じく、豪華指向を打ち出す。フロントマスクなどは相当に派手だ。対するCX-5は適度な野生味も併せ持ち、欧州車感覚が強い。
ボディサイズは全幅と全高に大差はないが、全長はハリアーが4720mmに達してCX-5よりも180mm長い。ホイールベースは逆に40mm短い。ハリアーはフロント側のオーバーハング(前輪よりもボディが前方に張り出した部分)を伸ばした。
インパネ周辺の見栄えは、ハリアーが艶やかで、「クラウンアスリート」などに近い印象。ここでも豪華さを追求している。
対するCX-5は内装も欧州車風で少し地味だ。メーターパネルやスイッチの配置は機能的でスポーティだが、質感の優劣を競えばハリアーが勝るだろう。
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マツダ CX-5マツダ CX-5マツダ CX-5マツダ CX-5マツダ CX-5
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フロントシートは両車ともに十分なサイズを確保。ハリアーは少しリラックス感覚が伴い、CX-5は腰の周辺を包み込んでサポート性を向上させた。
リアシートの足元空間は、両車とも十分に確保される。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は両車ともに握りコブシ2つ半。着座位置も適度でリラックスできる。座面の柔軟性はハリアーが少し勝るが、CX-5でも不満はない。
トヨタ 新型ハリアー vs マツダ CX-5 どっちが買い!?徹底比較

【新型ハリアー vs CX-5 動力性能・燃費対決】

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エンジンは、ハリアーが前述のように直列4気筒の2リッターと、2.5リッターのハイブリッドを搭載する。CX-5は直列4気筒の2リッター、2013年10月のマイナーチェンジで加わった2.5リッター、そして2.2リッターのクリーンディーゼルターボだ。
これらの内、両車ともに2リッターは廉価版と考えたい。車両重量は1500~1600kgと、さほど重くないため実用的な不満はないが、SUVでは趣味性も重視される。それを加味すると動力性能が物足りず、メカニズムも平凡。ハリアーはハイブリッドで決まりだろう。
CX-5では2.5リッターも加えたが、これは実質的に2リッターエンジンと同じ価格になる。2WD・20Sと4WD・25Sの価格差は30万4500円だが、25Sに標準装着されるディスチャージヘッドランプやリアビークルモニタリングなどが20Sでは9万4500円でオプション設定され、これに21万円の4WDも加わるから、30万4500円の差額がピッタリ埋まる。いい換えると2500ccエンジンを選べば「500cc分だけトクをする」わけだ。
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トヨタ 新型ハリアー
それでもベストな選択はクリーンディーゼルターボのXD。2.5リッターのガソリンエンジンに対する価格上昇は、装備の等しいLパッケージ同士で比べると37.8万円になる。そしてXDの最大トルクは4000ccのガソリンエンジン並み。2.5リッターエンジンの1.7倍に相当する。さらにJC08モード燃費も18.6km/Lだから2.5リッターの1.3倍。軽油の価格はガソリン代よりも1リッター当たり20円ほど安いので、XDはさらに燃料代を抑えられる。クリーンディーゼルターボは高出力で経済的。とても優秀なのだ。
マツダ CX-5マツダ CX-5
ちなみに実用燃費をJC08モードの85%、軽油価格を1リッター当たり140円、レギュラーガソリンを160円で計算すると、1km当たりの走行単価はXDが8.9円、2.5リッターガソリンの25Sは12.9円になる。
なので9.5万kmを走れば、燃料代の差額で37.8万円の価格差が埋まる計算だ。走行距離の伸びないユーザーが損得勘定を重視して選ぶなら25Sもアリ得るが、1年間に1.5万km以上を走るのであれば、パワフルなXDが断然有利になる。
一方、ハリアーのハイブリッドは、モーター駆動の併用によって動力性能は2.7リッターのガソリンエンジン並み。CX-5のような低回転域から沸き上がるような駆動力はないが、十分な動力性能を確保して加速感も滑らかだ。
そしてJC08モード燃費は、売れ筋になるエレガンスなどは21.4km/L。1km当たりの走行単価は前述と同じで計算で8.8円だ。XDの8.9円とほぼ同額になる。燃費数値はハリアーが優れるものの、燃料代に13%程度の差があるため、クリーンディーゼルターボのXDも意外に安い。ハイブリッドの滑らかな加速感も魅力ではあるが、「動力性能対燃費」ではCX-5のXDが圧勝する。

【新型ハリアー vs CX-5 装備・機能対決】

トヨタ 新型ハリアー・HYBRIDトヨタ 新型ハリアー
価格はどうか。ハリアーにはミリ波レーダーを使ったプリクラッシュセーフティシステムとレーダークルーズコントロールが10万5000円~13万2300円でオプション設定されるが、CX-5にはこの機能がない。時速4~30kmで作動する赤外線レーザー方式のスマートシティブレーキサポートは、全車に標準装着される。
装備の条件を合わせるために安全装備を除いて考えると、ハリアーで買い得なハイブリッドエレガンスが367万円。CX-5のXDにディスチャージパッケージを加えた仕様が290万8500円だ。細かな装備の差があるとしても、60万円はCX-5が安い。XDがクリーンディーゼルターボを搭載することも考えると、一般的にはCX-5が推奨されるだろう。
この背景にあるのは、ハリアーの価格設定だ。直列4気筒の2000ccエンジンを積んだベーシックな2WDのグランドでも、車両価格は272万円に達する。横滑り防止装置やサイド&カーテンエアバッグを標準装着するとはいえ、高めの設定だ。ヴァンガード2WD・240Sは、同様の安全装備に2.4リッターエンジンを搭載して、5人乗りは242万円であった。
マツダ CX-5マツダ CX-5 「XD 2013アニバーサリー」
国内専売で内外装の凝ったSUVを造ろうとすると、価格が高めになるのは否めない。ハリアーの2WDグランドは、質感の向上を考えても254万円くらいが妥当だろう。
もっとも、SUVは内外装や雰囲気が重要で、一概に割安感だけで優劣は決められない。スペシャルティな感覚は、CX-5よりもハリアーが濃厚に漂わせている。
以上のような違いを考慮した上で、ご自身にピッタリのモデルを選んでいただきたい。

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